国内の不動産を譲渡した場合には、譲渡所得に対し、分離課税による所得税が課されます。居住者(国内に住所をする又は国内に引き続き1年以上居所を有する個人)は、海外の不動産を譲渡した場合にも、国内不動産と同様に所得税が課されます。ただし、非居住者に対しては課税されません。
取引が外国通貨で行われた場合の円換算方法
不動産の譲渡所得は以下の算式により計算します。
収入金額-(取得費+譲渡費用)
外国通貨で取引が行われた場合は、不動産の収入金額または取得価額は、TTM(Telegraphic Transfer Middle rate、電信仲値相場)、すなわちTTS(Telegraphic Transfer Selling rate、対顧客電信売相場)とTTB(Telegraphic Transfer Buying rate、対顧客電信買相場)の中間の相場で円換算します。
例外として、不動産を売却した直後に売却代金を円に換金した場合にはTTBで、円を換金した直後に不動産を取得した場合にはTTSで換算することができます。
ちなみに、売却代金が1000万ドル、TTSが101円、TTBが99円、TTMが100円とすると、収入金額は
・TTMで評価した場合:1000万ドル×100円=10億円
・TTBで評価した場合:1000万ドル×99円=9.9億円
で、10億円-9.9億円=0.1億円分収入金額を圧縮できます。
外国で課された税金は相殺できる
海外不動産を売却すると、現地で課税される場合があります。こうしたケースでは、日本と現地での二重課税を排除するために、日本で課された税額から外国で課された税額を控除できます。
この規定の適用を受けようとする個人は、本年中に納付する又は減額された外国所得税の内訳(国、所得の種類、税種目等、相手国の課税標準、外国所得税額)、控除限度額や繰越控除限度超過額の計算に関する明細書を添付しなければなりません。あわせて、海外での税金納付の事実を証明する証憑を添付しなければなりません。