相続税は、確定申告期限(被相続人の死亡があったことを知った日の翌日から10か月以内に、納税地の所轄税務署長に金銭で一括納付することとされています。一方で、相続財産が現金・預金・有価証券などの換金性が高い資産とは限りません。特に不動産の場合は、換金までに時間がかかり、納付期限までに処分しようとすると、足許を見られてしまいます。
相続税の延納とは
そこで、以下の条件が認められる場合には、5年以内の相続税の分割払い、つまり延納が認められます。ただし利子は取られます。通常の延納の場合の利子税の割合は、年6.0%(平成28年4月現在は特例により1.4%。以下特例割合を使用)です。
(申請手続き)
以下の書類を、相続税の納付の期限までに提出します
・申請書類:延納申請書・担保目録等
・担保提供に関する添付書類:登記事項証明書、供託所正本等
(相続税額)
10万円超であること(10万円以下なら、少額なので一括納付が可能と想定します)。
(延納事由)
・金銭での一括納付を困難とする理由を「金銭納付を困難とする理由書」に記載します。
・理由書には、相続した現預金・納税者の現預金等も記載し、一括納付を金なんとする金額を合理的に算定します。
(延納税額と利子税の額に相当する担保の提供)
・担保提供資産は、公社債、土地・建物等です。
・延納期間が100万円以下かつ延納期間が3年以下の場合は担保不要です。
相続財産に占める不動産のウエイトが大きい場合
延納期間と利子税(特例割合)が優遇されます。
(不動産が75%以上の場合)
動産などに係る延納税額:延納期間10年、特例割合1.3%
不動産などに係る延納税額:延納期間20年、特例割合0.8%
森林伐採立木などに係る延納税額(ウエイトが20%以上の場合に限る。以下同じ):延納期間20年、特例割合0.2%
(不動産が50%以上75%未満の場合)
不動産などに係る延納税額:延納期間15年、特例割合0.8%
森林伐採立木・動産などに係る延納税額は、75%以上の場合と同じ