不動産を売却する場合、譲渡所得に対して、所有期間や不動産の種類によって一定の税率で所得税が課されます。譲渡所得は、収入金額から取得費及び譲渡費用を差し引いて計算しますが、今回は、取得費について説明します。
取得費とは
取得費とは、売却する土地・建物の購入・建築にかかった費用です。
土地
購入代金の他、造成費用(盛り土・埋め立て・整地・切り土・防壁工事等)、土地改良費用は受益者として負担した分も合わせ、取得費に含みます。なお、一括して購入した土地の一部を売却した場合の取得費は、原則として購入代金を敷地面積により按分して計算します。
建物
購入・建築代金の他、増改築費用も取得費に含めます。
なお取得費からは、購入・建築時から売却時までの期間分の減価償却費を控除します。1年毎の減価償却費は、木造や鉄筋といった建物の種類別に定められた耐用年数に応じて変わってきます。
取得費に含めることができる費用
・購入した土地・建物の借主に支払った立退料
・購入・建築時の不動産取得税・登録免許税・登記にかかった手数料・特別土地保有税(ただし個人事業主が業務用に取得した
土地・建物に関しては、これらの費用は必要経費に含まれ、取得費には該当しない)
・概ね購入後1年以内に古家を取り壊した場合の取り壊し費用および古家の簿価(廃材を売却した場合には、
売却代金を差し引いた金額)
・購入や建築のためにローンを組んだ場合には、そのローンの利子のうち、土地・建物の使用開始までの期間に相当する分
・土地を取得する際に、隣接地との境界線確認などのために実施した測量費用
・土地・建物購入時に、所有権に関する係争などが生じた場合には、その訴訟にかかった費用
相続税の取得費加算の特例
相続により取得した土地・建物を譲渡した場合で、相続税の申告期限後3年以内にその土地・建物を売却した時は、相続税額のうち土地・建物の価額に相当する部分を取得費に加算できます。