今でこそ多少持ち直してきましたが、ここ20年以上、一部の人気エリア(港区・中央区・世田谷区などの東京都区西南部など)を除き、中古マンションや一軒家の価格はずっと下落しています。
ですので、持ち家を処分するときには、譲渡損失が生じるケースも多いのです。中には、マイホームを譲渡しても住宅ローンを完済できないケースもあるのです。
こうした状況に配慮して法制化されたのが、マイホームを買換えたとき、または住宅ローンが残っているマイホームを売却したときの譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例です。導入以来5年以上が経過し、毎年1万名以上が確定申告で適用を受けています。
ただしこの特例は、その適用条件が厳しいのです。ぬか喜びは禁物です。自分のケースが適用を受けられるか、下調べが欠かせません。
損益通算の主な適用条件
・譲渡した年の1月1日において、所有期間が5年以上であること
・譲渡した年の前年又は前々年に、居住用不動産の特別控除等の適用を受けていること
(買換の特例)
・償還期間10年以上の住宅ローンを有していること
(ちなみに、買換の特例と住宅ローン特別控除はあわせて適用可)
・買換資産の床面積が50平方メートル以上であり、取得した年の12月31日までに居住する見込みであること
(住宅ローンが残る場合の特例)
・居住用不動産の譲渡価額が、住宅ローン残債の金額を下回っていること
・譲渡した時点でも、償還期間10年以上の住宅ローン残債を抱えていること
繰越控除の主な適用条件
損益通算は認められても、繰越控除は以下の要件を満たさないと、適用を受けることができません。
・その年分の合計所得金額が3000万円以下であること(3000万円を超える場合は、その超える年のみ繰越控除の適用除外となります)
・譲渡した居住用不動産の敷地面積が500平方メートル以下であること。
500平方メートルを超える場合は、敷地全部ではなく、その超える部分の譲渡損失のみ適用除外