空き家を譲渡するのは、以下のようなケースが考えられます。
・母親が一軒家に一人で暮らしていたが、半年前に亡くなった。親族で引き継ぐ者がいなかったため、結局売ることにした。
・地元の工場で働いていたが、企業の構造改革で生産拠点が東北に移転、今の工場は閉鎖されることとなった。
家族で転居して1年、やっと買い手が見つかった。
・父親が一人で暮らしていたが、子供たちでは面倒を見切れず、介護施設に預けることとした。入居金や月々の施設は
住まいを売った代金を充当する。
こうした空き家を譲渡した場合に、居住用不動産に関する所得税の優遇措置は適用されるのでしょうか。
居住用不動産の譲渡は所得税が軽減される
特別控除
居住用不動産を譲渡した場合には、その所有期間にかかわらず、その譲渡所得から3000万円を控除できます。
税率の軽減
居住用不動産で所有期間が10年間を超える物件を譲渡した場合には、譲渡所得のうち6000万円以下の部分に対する税率が軽減されます(20.315%→14.21%)
譲渡損失の損益通算および繰越控除
マイホームを買い換えて譲渡損失が生じた場合には、その損失の金額を事業所得や給与所得など他の所得から控除(損益通算)し、控除しきれなかった金額は翌年以降3年以内に繰越控除できます。
また、たとえ買い換えなくても、マイホームを売却してなお住宅ローンの残債が残るときは、その残債の額を限度として、損益通算および繰越控除の適用を受けることができます。
空き家でも居住用不動産として認められる場合
住まなくなった日から3年を経過した日の12月31日までに譲渡すれば、その空き家は居住用不動産と認定されます。仮に空き家を取り壊した場合でも、取り壊しの日から1年以内に譲渡契約を締結すれば、居住用不動産として認められます。
亡くなった母親が一人で暮らしていた一軒家を譲渡した場合
被相続人の居住用不動産で、誰も住まなくなった空き家を譲渡した場合で、売却代金が1億円未満など一定の要件を満たすときは、3000万円の特別控除の適用を受けることができます。