少額資金でも不動産投資ができるREIT(Real Estate Investment Trust、不動産投資信託)は、安定した賃貸収入が還元されることから、投資商品として高い人気を維持しています。
株式だと、PER(Price Earnings Ratio、株価収益率)、PBR(Price Book-value Ratio、株価純資産倍率)といった指標が普及していますが、REITは独特の指標が用いられており、ファイナンスのサイトやブログなどでも頻繁に登場します。
REITは指標で分析しやすい
株式と比べた場合、REITは指標により分析しやすいのです。
企業はさまざまな事業に投資をして稼いでいます。例えば富士フィルムは、カメラ・フィルムだけでなく、医薬品、試薬、医療器具から化粧品まで多岐にわたります。また、企業は、将来のために、すぐには売り上げに結びつかないこと、例えば画期的新製品の開発などに資金を使います。株式分析ではこうした企業の多面的な活動を評価して、収益性・安定性を判断しなければなりません。
REITの場合、事業活動の範囲は不動産賃貸事業に限られます。不動産にいくら投資して、どれだけ賃貸収入を得たかを評価すればよく、極めてシンプルです。それでは、具体的な指標について紹介します。
分配金利回り
年間分配金の額を、REITの投資口価格で割って得た比率です。REITは値動きが緩やかで、株式ほどにはキャピタルゲインが期待できません。その替わり、分配金利回りは平均でも3%に達します。そうした意味で分配金利回りはREIT運用を評価するうえで最も重要な指標です。
FFO倍率
Funds From Operationの略です。不動産売却損益を除いた減価償却前の利益を投資口価格で割った倍率です。投資口価格に対する賃貸事業によるキャッシュフローの大きさ(収益力)を評価する指標です。
NAV倍率
Net Asset Valueの略です。投資法人が保有する不動産の時価を投資口価格で割った倍率です。この倍率が1を割り込むときは、明らかに割安であることを示します。