住宅情報誌をペラペラとめくると、物件概要のページは必ず用途地域(一種低層など)が記載されています。その下に、その他制限として「風致地区」なる条件をたまに見かけます。この一種低層や風致地区、周辺の住まいの環境を意味するだけでなく、敷地に建築できる家の大きさなど土地利用にも大きな影響を与えます。
一種低層でも土地利用は制限される
三大都市圏(首都圏、中京圏、近畿圏)の住宅エリアの多くは、都市計画法上の市街化区域に指定されています。市街化区域は、計画的な市街化整備を図るために、住居・商業施設・工場などが極力混在しないよう、用途地域を定めています。
例えば、閑静な住宅地によくある一種低層区域では、建ぺい率が30%・40%・50%・60%のいずれか、容積率は50%・60%・80%・100%・150%・200%のいずれかを、都市計画に基づき都道府県が指定します。
事務所兼住宅も、店舗部分の床面積が50平方メートル以下で、かつ建物全体の1/2未満であるものに制限され、用途も限られます。パチンコ屋や風俗店はもちろんNGです。
変電所・上下水道ポンプ・ガス供給設備などのインフラ施設も、一定の制限を受けます。
養豚場・養鶏場は15平方メートル以下の施設に限られます(こんな狭い畜舎を見たことはないので、実質禁止ですね)。
その他、絶対的高さ、日影、壁面制限なども規制を受けます。
一種低層以上に締め付けが厳しい風致地区
風致地区はさらに厳しく、例えば鎌倉市の場合、第一種風致地区では建ぺい率が20%に制限されています。
さらに敷地の20%以上が緑地となるよう、植栽計画を提出しなければなりません。その他、道路際に生け垣を作る、擁壁などには蔦を這わせるといった対応も求められます。
定量的な規制だけではありません。鎌倉市内には歴史的風土を保存すべきとされている区域もあり、そこでは奇抜なデザインなど周辺環境と調和しない家を建築することはできません。
こうした条件をクリアしたうえで、初めて市長の建築許可が下りるのです。