少額からでも不動産投資ができるREIT(不動産投資信託)は、2016年時点で60近い銘柄が上場されています。一般的にはREITといえば賃貸オフィスを思い浮かべる方が多いようですが、REITの保有物件は、オフィスだけではありません。

各銘柄は、それぞれ異なる用途の保有物件を抱えており、その用途の違いによって、安定性・収益性といった面で独自性を打ち出しているのです。

特化型REITと統合型REIT
特化型REITは、保有物件を特定の用途(住宅、オフィス、ホテル、商業施設、物流施設)に絞った銘柄です。特化型に対して統合型は、いくつかの用途の保有物件を抱えてバランスを取った銘柄です。

住宅特化型REIT
他の特化型REITに比べて安定性に優れています。つまり、景気が変動しても賃貸住宅への入居者が極端にぶれません。結果として空室率の変動が小さく、安定した利回りを確保できるのです。一方で、収益性は他のREITより低くなりがちです。人口減による今後の需要が気がかりですが、三大都市圏ではしばらくは安定した需要が見込めそうです。

オフィス特化型REIT
景気下降時には空室率が上昇し、賃料は下降しやすいのが特徴です。一方で他のREITより高い賃料を維持できることから、高い収益性が魅力です。

ホテル特化型REIT
政府の観光政策(2020年までに4000万人の海外観光客誘致)の後押しも受け、将来の成長が最も見込まれます。一方で景気循環の影響を最も受けやすいのがこのREITです。投資に当たっては、今後のホテルラッシュといった供給面のウオッチも欠かせません。

商業施設特化型REIT
アウトレットやショッピングモールを運営しています。固定での家賃契約により安定した収益を確保していても、中長期的に景気の波を受けやすい(テナントの売り上げが落ちれば家賃ダウン・撤退のリスク)面は否めません。将来的には供給過剰やネット販売の普及影響が懸念されます。

物流施設特化型REIT
賃貸契約が長期に及ぶこともあり、安定的な収益の確保が図れます。将来的にもネット販売の拡大など、将来の成長が期待できる分野です。一方で物流面での効率性など、拠点間の競争も激しくなっており、個別銘柄の吟味は欠かせません。

 
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