地方都市の自治体は、東京や名古屋といった大都市への一極集中のあおりを受け、人口の流出や地方財政の悪化に苦しんでいます。関東近県ですら、東京への通勤圏外のエリアは似たような状況です。そんな自治体の窮余の策として、コンパクトシティー構想が話題になっています。実はこの構想、不動産の価格にも影響を及ぼします。
地方都市のスプロール化が進んでいる
地方都市で暮らすと実感できますが、郊外では国道沿いにびっしりとファーストフード店やファミレス、大型ホームセンターが立ち並び、水田地帯に突然ショッピングモールが現れます。そんなエリアに住宅分譲団地が出来上がっています。その一方で駅周辺はすっかり寂れ、にぎやかなのは夜のネオン街くらいです。
一方で、郊外は無秩序で虫食い的な土地開発が進み、農地や緑地の景観が破壊されます。道路の整備も追いつかないので、朝夕には決まって渋滞が頻発するのです。
スプロール化で自治体財政が悪化する
こうしたスプロール現象が起きると、自治体は上下水道・通信・道路整備といったインフラ整備の範囲が拡がります。消防などの公共サービスも展開しなければいけません。こうした事態は地方財政を圧迫します。
工業団地の誘致等で税収も伸びていた時代にはそれでも何とかなりました。人口減で財政が厳しくなる中で、何らかの解決策が求められているのです。
コンパクトシティーは地価にも影響する
コンパクトシティーは、答えの一つとして国土交通省も旗ふりしている政策です。具体的には駅周辺にインフラ整備・サービスの範囲を限定し、郊外への商業施設や住宅の建設を抑制します。郊外の住民には、公共サービスに関して、一定の自助努力が求められます。例えば軽井沢町では、自治体による除雪作業はしなの鉄道沿線に限られ、郊外の別荘地は、自力で除雪するか業者に頼まざるをえません。今後は医療機能なども中心部に集約されるでしょう。
この構想が進むと、住宅地でいえば中心部の「居住誘導地」以外では、地価の下落が進むと言われています。