平成4年改正前の借地借家法は、借主の権利が手厚く守られてきました。最近では珍しいですが、おじいさんの代から相続した住宅や店舗には、旧法による借地のケースも珍しくはないのです。借地を相続したら、評価額は普通の土地と違うのでしょうか?地代や更新料のコストはどのくらいかかるのでしょうか?
旧法による借地権とは
借地権とは、他人所有の土地を借りてその土地の上に自己所有の住宅や店舗を建築し、利用し続ける権利です。旧法での借地権の存続期間は、コンクリート等建築物で30年、それ以外で20年です。建物が朽ち果てた場合には権利は滅失しますが、建て替えすれば更新されます。地主(底地権者)は、正当な事由がない限り、建て替えによる更新を拒否できません。つまり、旧法借地権は半永久的に存続する土地の権利なのです。
相続税の評価額は?
借地権の相続税の評価額は、自用地としての評価額×借地権割合で計算します。
借地権割合は、国税局長が地域の取引事情等を考慮して、路線ごとに設定します(国税庁ホームページで閲覧できます)。A:90%よりG:30%まで10%刻みで設定されており、路線価図には記号が記載されています。割合は地域によってばらつきはありますが、銀座などの1等地は90%と高く、地方に離れるほど下がる傾向にあります。
ちなみに銀座6丁目で時価5億円の土地の場合、自用地としての評価額は時価の概ね8割ですので4億円、このエリアの借地権割合は90%ですので、4億円×90%=3.6億円が借地権の評価額です。
地代や更新料の決め方
相続税法では、借地権の通常の地代は、土地の自用地としての評価額×(1-借地権割合)×6%で算定することとされています。通常の地代より低い価格、または高い価格の地代を設定した場合、贈与とみなされ課税される可能性があります。
更新料は、契約書に定めがある場合に限り支払いの義務が生じます。支払額は相場水準によるとされているケースが多く、相場は例えば東京都では更地価格の概ね2-3%と言われています。