自宅が道路拡幅予定地にかかれば、当然立ち退きの補償金が入ってきます。では、それがトンネルだったらどうでしょうか?地下だからと言って勝手にトンネルを作って許されるわけではありません。たまに見かける高圧線も同様です。

土地を駐車場に利用すれば、駐車料金を徴収できます。そして土地の権利は、平面的に及ぶだけではありません。地上・地下も権利の範囲内なのです。他人が利用する場合は、使用料(補償金)を徴収できます。

それでは、地下何メートルまで、地上は何メートルまで土地の権利が認められるのでしょうか?補償金はどのような基準で認められるのでしょうか?

権利が及ぶ範囲には限度がある

地下にトンネルを作る場合、国土交通省の指導により、開口部から地下5mまでは、トンネルの強度に影響を及ぼすので、土地を買い取ることとされています。一般的には地下5mから40mまでの範囲で、土地所有者に対し、一定の基準で補償することとされています。

大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(通称:大深度法)により、40m以上(または基礎杭最低部から10mのいずれか深い方)の地下は「大深度地下」とされていて、原則として土地所有者の権利が及びません。ただし法律の適用範囲は、三大都市圏とされています。

補償金はどうやって決まるのか

補償金は無条件に手に入るわけではありません。土地の利用が制限されるのです。つまり重い建築物(例えば高層マンション)は、大きな荷重がトンネルにかかるので建築できません。また、基礎杭や井戸などの目的で地下を堀削する場合には届け出が必要です。

補償金は、この利用制限の度合い(利用制限率)によって決まり、国土交通省の政令により定められています。利用制限率は、その土地の用途区域や建築基準法の規制(容積率・建ぺい率等)によっても変わります。

高圧線も補償金が出る

一般的に、上空の権利は地上300mまで及ぶとされています。高圧線が敷設される場合も、「線下補償」といって、補償金が支給されます。

使用の権利は登記される

トンネルを使用する場合は区分地上権、高圧線の場合は地役権が登記簿に登記されます。

 
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