最近、企業による固定資産税の還付が話題になっています。不動産デベロッパーやREIT(Real Estate Investment Trust 不動産投資信託)の投資法人などオフィスビルを抱える企業の他、物流施設を所有する大手電機メーカーや製薬メーカーなどが、巨額の還付請求を獲得しています。
なぜ固定資産税額に誤りが生じるのでしょうか?いつまでの分なら遡って請求できるのでしょうか?そして還付請求するにはどのような手続きを踏めばよいのでしょうか?
自治体が決める固定資産税額
日本の税金は、納税者自らが課税標準(例えば所得税・法人税なら所得)と税額を計算して納付する、申告納税を基本としています。一方で固定資産税の納付額は、賦課課税方式を採用しています。都税事務所・市役所または町村役場(以下「自治体」)から、一方的に納税通知書が送られてきて、そこには課税標準(土地・建物の固定資産税評価額)と税額を知らせてきます。
誤りの可能性が捨てきれない建物の固定資産税評価額
還付請求の根拠となっているのは、その多くが建物の固定資産税評価額の誤りです。土地・建物の評価は、地方税法の規定により、総務大臣が定める固定資産税評価基準に基づくとされています。
基準では、建物の評価額は再建築価額によるものと規定されており、具体的には屋根、基礎、外壁、床などのパーツ別に資材費・労務費を点数化して積み上げ、使用による劣化を差し引きます。気が遠くなるくらいに複雑なのでミスが起きるのです。
いつの分まで遡れるのか
地方税法によると、自治体による税金を取りすぎた分に対する還付金の請求権は、請求ができる日から5年で、時効により消滅します。
手続きはどうするのか
建物の評価に不服がある場合には、納税通知書が郵送されてきた日から60日以内に固定資産評価委員会に審査の申し出を提出します。審査結果はおおむね30日以内に決定します。審査結果に不服があるときは、その結果が出た日から6か月以内に裁判所に取り消しの訴えを提起できます。