土地を相続したからといって、喜んでばかりもいられません。平成25年改正で相続税の基礎控除が従来の6割前後に引き下げられたこともあり、相続で税金がかかる可能性が従来よりも高まっているのです。とくに土地以外にめぼしい遺産が無い場合、納税資金の確保には難儀します。
とくに不整形地や傾斜地、アパート等の権利がらみの土地は簡単に買い手が付きません。
納税資金の確保は相続開始後10か月以内
「だったら土地を処分すれば解決だ」と考える方も多いでしょう。相続税の納付期限は、相続の日から10か月以内です。しかも納骨の49日までは、葬儀や遺品整理やらであっという間に過ぎていきます。その後にやっと遺族間での分割協議、預貯金・株式などの確認、土地の登記簿取り寄せなどで半年くらいは経過してしまいます。それから初めて不動産屋に仲介に出す段取りでしょうか。
短期間で処分したいとなると、当然足元を見られ、安く買いたたかれる可能性も捨てきれません。それに立地や権利関係によって、土地の足の速さは目に見えて違います。
税務署は現物での納税を認めてくれる
そこで登場するのが、相続税の物納制度です。つまり、現金ではなく、現物での納付を認める制度です。ただし、条件はいくつかあります。
延納によっても金銭での納付を困難とする事情があること
具体的には、税務署長あてに、「金銭での納付を困難とする理由書」を提出します。記載項目には、相続財産に含まれる現預金、納税者の現預金、生活の収支などが含まれます。その理由書を見て税務署長が「これは金銭で払うのは無理だよね」と判断するのです。
管理処分不適格財産でないこと
抵当などの担保付き物件、境界線などについて争っている、賃借権等について暴力団が介在している等、いわくつき物件は物納できません。
物納劣後財産は他に物納財産がないこと
賃借権などが設定されている土地、現に住んでいる・商売を営んでいる土地は、他に物納に充てる財産が無い場合に限り物納が認められます。