賃貸アパート・マンション・駐車場(以下「賃貸アパート等」)の相続は、税金対策が厄介です。特に三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)では土地の評価も高額で、何千万円・何億円単位の相続税納付という事態もあり得ます。
節税対策云々を講じるのも大切でしょうが、まずはこうした物件に関して課税価格がどの程度になるのかを予測し、納税資金の確保プランを検討するのが先決です。
今回は、賃貸アパート等に関して、相続税の課税価格に算入する際に適用される評価額の計算方法や、評価減の特例について解説します。
賃貸アパート・マンションの評価額は自用地より低い
賃貸アパート・マンションの評価額は、その宅地・建物の自用としての評価額より低い価額で算定されます。
賃貸アパート・マンションは、その利用や売却が、自用の場合より遥かに制約されます。日本では不動産の賃借人の権利が強いので、貸主が他の用途として使ったり、高値で売れたから処分するといったことが簡単にできないのです。相続税評価額計算に当たってもそうした事情が配慮されます。
賃貸アパート・マンションの建物 評価額の計算式
自用としての建物の評価額-自用としての建物の評価額×借家権割合×賃貸割合(空き室を加味した割合)
賃貸アパート・マンションの宅地 評価額の計算式
自用としての宅地の評価額-自用としての宅地の評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合(空き室を加味した割合)
借家権割合、借地権割合は地域によっても異なり、国税庁ホームページで閲覧できます。
駐車場の評価額の計算式
自用としての宅地の評価と同じです。
評価減の特例
小規模の賃貸マンション・アパート用の宅地は、相続する親族の生活基盤であることも多いといった事情にも配慮して、敷地面積200㎡を上限として、50%の評価減の適用を受けることができます。