国税庁の統計によると、相続税の申告において、土地及び家屋は課税財産全体の半分近くを占めています。長引く地価の低迷により、平成6年の3/4よりに比べるとウエイトは低下しましたが、相続税対策において不動産がかなめであることは変わりません。
特に不動産のうち、居住用宅地に関する取扱いは、持ち家を所有していたら無関心ではいられません。都内の人気住宅地エリア(目黒区、港区、世田谷区などの西南部)なら尚更です。
今回は、居住用宅地の課税価格が減額される優遇制度について解説します。
相続税は強化されている
平成25年度改正で相続税は大幅に強化されました。
基礎控除は従来の6割程度に引き下げられました。これで課税対象者のベースが一挙に拡がります。
合わせて相続税の最高税率が50%より55%に引き上げられました。
だからこそ、余計に、自分の持ち家に優遇制度が認められるかどうかが気になります。
「小規模宅地等の課税価格の計算の特例」の概要
優遇制度の正式名称は「小規模宅地等の課税価格の計算の特例」です。
相続により取得した土地に対しては、その評価額(路線価)をベースとして相続税が課税されます。
ただし、事業用宅地や居住用宅地は生活の基盤そのものです。多額の相続税を払えとなると、生活の基盤を奪われてしまいます。とくに宅地以外にめぼしい遺産がない限り、宅地の処分に追い込まれかねません。
そこで課税当局は、こうした宅地のうち、一定の敷地面積を限度として、所定の割合の評価減を認めているのです。
特定居住用宅地等の限度面積、評価減割合、適用要件
居住用宅地のうち一定の要件に該当するもの(特定居住用宅地等)に対しては、敷地面積330㎡を限度として、80%の評価減が認められます。
一定の要件とは、次のいずれかです。
〇亡くなられた方(被相続人)が死亡時まで宅地の上に住宅を建てて居住しており、かつ配偶者・被相続人の同居親族が宅地を相続した場合。同居親族がいない場合は、他の親族の相続も可(過去3年以内に持ち家を所有していないなどの条件あり)
〇被相続人と生計を一にしていた親族が被相続人所有の宅地の上で居住しており、かつその親族が相続した場合。