マイホームを購入するのには多額の資金が必要です。中には裕福なご両親より、生前贈与として住宅資金をサポートしてもらう方も多いでしょう。ただしせっかく経済的に助けてもらっても、何の対策も講じないと、多額の贈与税を課されてしまいます。
住宅の購入や新築の対価に充てる資金を、ご両親などから贈与された場合には、ケースによって非課税の適用を受けることができます。今回は、この特例について、適用条件や非課税限度額を中心に解説します。
「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」の概要
この特例の正式名称は「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」です。国民の住宅取得促進による社会基盤安定をうたい文句としていますが、不動産取得や住宅建設の活性化による景気浮揚がホンネとの声もあります(実際、裕福でないと資金援助はできないので、金持ち優遇の側面も強い特例です)。
この特例は、受贈者が直系尊属から住宅取得等の資金の贈与を受けた場合には、一定の限度額の範囲内で非課税とする優遇措置です。
受贈者には、20歳以上であること、その年分の合計所得金額が2000万円以下であることなどの条件が求められます。
直系尊属とは、父母だけではなく祖父母も含みます。養子縁組をした場合には、養父母も含みます。
住宅の床面積は、50㎡以上240㎡であることが条件です。住宅には、店舗兼住宅や貸家兼住宅も含みます。ただし、住宅部分の床面積が1/2以上を占めていることが条件です。
住宅の取得等には、購入、新築の他、100万円以上の増改築も含みます。親族その他の関係者を通して購入・新築・増改築した場合には、非課税の適用を受けることはできません。
限度額は700万円で、省エネ等住宅の場合には1200万円です。省エネ等住宅は、断熱性・耐震性・バリアフリー配慮など、一定の基準を満たすものと証明された住宅です。
ちなみに、贈与税の課税は個人単位であり、ご夫婦がそれぞれの父母(または祖父母)から贈与を受ければ、各自700万円(または1200万円)の限度額まで非課税の適用が認められます。