不動産を売却する場合、取引金額も大きく、ケースによっては多額の所得税が課されます。売却にあたっては、不動産の譲渡所得の計算方法や税率についてあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
今回は、不動産を売却した場合の譲渡所得の計算式と計算項目の内容を、所得税の課税体系と譲渡所得の位置づけ・税率を含めて解説します。
所得税の課税体系と譲渡所得の位置づけ・税率
個人は、サラリーマンとして働いたり、個人事業主として稼いだり、土地や株式を売って儲けたりして、さまざまな活動を通じ収入を得ています。所得税はそうした活動に応じて、所得を10に区分(給与所得、事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得、退職所得等)し、それぞれの区分の性格に応じて定められたルールに応じて所得金額を計算します。
所得税は、総合課税を原則とし、各区分の所得金額を合算して、超過累進税率を適用します。ただし、不動産の売却による譲渡所得は例外で、分離課税が適用されます。他の所得と分離され、所有期間や不動産の種類に応じた一定税率を適用して税額を計算します
譲渡所得の算定方法
譲渡所得は以下の算式により計算します。
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
収入金額
不動産の売却による実際の対価です。ちなみに対価の額が時価より低い場合にも、対価が適用されます。
取得費
不動産を購入した時の代金、新築した時の代金の他、購入時の仲介手数料、土地の造成費用、建物の増改築費用を含み、建物の使用期間に応じた※減価償却費を差し引きます。
※建物の種類・耐用年数によって異なります。
譲渡費用
売却時の仲介手数料、売主負担の印紙税、賃貸アパートや貸しビルを売却する時の借主への立退料、更地で売却する時の建物の取り壊し費用・建物の損失・整地費用等を含みます。
特別控除額
公共事業の用地として売却した場合、居住用不動産を売却した場合には、ケースによっては特例として特別控除が認められ、譲渡所得を減額できます。