もしも、自宅が高速道路の用地にかかったら、道路の拡幅の予定地に指定されたら、その買収価格はどうなるのでしょうか?そして税金はどうなるのでしょうか?隣にゴミ処理場ができたら補償されるのでしょうか?今回はそんな疑問にお答えします。
突然道路の予定地に決まることはない
中国では、突然自宅が道路予定地にかかり、急いで立ち退くケースがあるようです。日本では、道路が出来上がるまでには、長い年月がかかります。例えば横浜の環状線は、地区によってばらつきはありますが、事業期間はおよそ30年にわたっています。
具体的な手続きは、まず都市計画に基づき道路の新設や拡幅予定が決まります。その段階で、道路予定地には建築制限がかかります。例えば、一般的には3階以上の建物は建築できなくなります。
その後、事業決定と言って、道路建築の予算や具体的な日程が決まります。そうなると、原則として建物の新築は認められなくなります。そしていよいよ用地買収となりますが、通常は民事交渉が基本です。どうしても折り合わない場合は、土地収用法に基づく強制収用が実施されます。
道路用地として売却した場合は税金が優遇される
道路に限らず、公共事業用地として不動産を売却した場合には、個人の場合は所得税の、法人の場合は法人税の課税の特例が適用されます(ここでは個人の場合で説明)。具体的には特別控除と買い換え特例の制度です。
〇特別控除
以下の要件を満たす場合には、譲渡所得から最大5000万円の特別控除額を差し引くことができます。
・売却する土地建物は販売用目的でないこと
・行政官庁などから買い取りの申し出があった日から6か月以内に譲渡すること
・代替資産を取得した場合の課税の特例の適用を受けていないこと
・もともと買取の申し出を受けた者による譲渡であること(死亡により相続を受けた場合を含む)
なお、同じ公共事業で、特別控除を2年にわたり受けることはできません。
〇代替資産を取得した場合の課税の特例
道路用地として譲渡した資金で代替資産を取得した場合は、代替資産の取得の範囲内で、譲渡所得の課税が繰り延べられます。ただし代替資産の取得は、土地建物を譲渡した日から2年以内に限られます。