国土交通省が3月に公表した「平成29年地価公示の概要」によると、住宅地の公示価格が全国平均で下落を脱してプラスマイナス0に転じています。しかし地方に目を転じると、いまだに下落が続いているようです。
中核四都市の住宅地が三大都市圏を上回る上昇
東京圏における住宅地の公示価格は0.7%、名古屋圏が0.6%の上昇ですが、大阪圏は0%と横ばいになっています。28年は東京圏0.6%なので29年は0.1ポイントの増ですが、名古屋圏は28年が0.8%、大阪圏は0.1%と29年は共に下降傾向にあります。
一方、札幌市・仙台市・広島市・福岡市の四都市の住宅地は、28年は2.3%の上昇だったのが29年は2.8%と0.5ポイント上昇しています。これら中核四都市における公示価格の上昇率が全国平均を押し上げているようですね。
地方別の公示価格
地方別の公示価格を見ると、東北地方がプラス0.3%、九州・沖縄がプラス0.2%ですが、それ以外の地方は全てマイナスで下落が続いています。
最も大きく下落しているのは大阪圏を除く近畿地方でマイナス1.3%、次いで中国地方のマイナス1.2%、名古屋圏を除く中部地方がマイナス1.1%でした。関東地方でも、東京圏を除くとマイナス0.9%になっています。
このデータから、三大都市圏や中核四都市と、その他の地域の格差が大きいことが読み取れます。全国平均が横ばいに転じたといっても、実態は地域格差が更に広がっているようです。
地価上昇の要因と地域格差の拡大
国土交通省は、低金利が続いて住宅ローンが組みやすくなっていること、それに加えて住宅ローン減税の施策による効果があると分析しています。確かにそういった要素はあるでしょうが、でもそれは三大都市圏や中核四都市でのことではないでしょうか。
特に中核四都市は三大都市圏と比べて地価が安いので、不動産投資における利回りが高くなります。そういった事情を背景に中核四都市へ投資マネー流入し、地価を上昇させている側面もあるようです。
交通インフラや買い物などの利便性が高い地域に人口や経済活動が集積して地価が上昇し、田舎など不便な地域の地価は相変わらず下がり続けているという構図ですね。