今より広い住宅への住み替えをする際、想定外の売却損が発生することがあります。では、売却損が発生するのはどんなケースなのでしょう。
住宅ローンが組みやすくなったことが原因?
一昔前だと、住宅ローンを組む時には最低でも購入額の1割程度の頭金を用意するのが当たり前でした。ところがここ数年は住宅ローンの金利が低いこともあってか、購入価格の100%に諸経費を含めてローンが組めるようになりました。
そこで不動産会社は、物件価格+諸経費でローンを組むことを前提に購入可能額を設定して顧客に物件を勧めるわけです。そうなると、借入金が物件価格を上回ることになります。つまり、購入時点でローン残高が売却価格を上回るということです。
今は、1980年代のバブル期以前のように黙っていても不動産価格が値上がりするようなことはありませんから、経年ごとに実勢価格は下落します。ローン残高が減るよりも価格下落のスピードの方が速いので、売却損が発生するのは当然の成り行きでしょう。
新築は下落幅が大きい?
新築物件の価格には、新築プレミアムと呼ばれる不動産会社の利益が2割から3割が上乗せされています。購入時点では新築でも一旦人が住めば、築1ヶ月の物件でも中古として取引されることになります。
仮に5000万円で購入した新築に1日だけ住んで売りに出すとしたら、4000万円程度の中古物件に変貌してしまうということです。もし頭金なしのフルローンで購入していれば、売却時のローン残高は5000万円ですから、1000万円の売却損が発生するわけです。
規模の大きな分譲マンションの場合、数回に分けて販売することが多々あります。その際、デベロッパーは初公開時の価格設定は少し強気に設定して、反響を見ながら次回以降の価格設定をするという戦術を取ります。
初公開が好調な売れ行きであれば、2回目以降は価格アップして公開するわけです。そういった物件を購入した場合、売却時の価格落差が大きくなって売却損が膨らむという図式になります。
中古物件の価格は実勢価格ですが、新築はプレミアムが付いているので短期で売るほど売却損が大きくなる可能性が高くなります。中古物件であっても、高いローン比率で購入すると売却価格がローン残高を大きく下回る可能性があるので注意しましょう。