昨今、様々な分野で高齢化問題が取り沙汰されていますが、不動産業界も例外ではありません。高齢者が人口に占める割合が高くなるのですから、必然的に住宅の仕様も高齢者のニーズを意識したものになるでしょう。
高齢者が暮らしやすい住宅の需要が高まる
内閣府の「平成27年版高齢社会白書」によると、高齢化率は26.0%に上昇し65歳以上の高齢人口は過去最高の3,300万人に達しています。75歳以上の高齢者は1,592万人で、総人口の12.5%となっています。
東京都の高齢化率は22.5%で、首都圏では千葉県の25.3%が最も高い数値になっています。つまり、地方だけではなく首都圏においても高齢者は多いということです。
高齢化に伴って、社会保障給付費が増え続けており、それに歯止めをかけたい国は在宅介護を推奨しています。在宅介護をするとなると、高齢者が暮らしやすい住宅の需要が高まるわけです。
高齢者の生活を想定した住宅でないと売れなくなる?
現時点で高齢者がいない家庭でも、リフォームする際は将来の高齢化を想定してバリヤフリーや手摺りなどの設置を考えるべきかもしれませんね。新築する場合は、始めから高齢者でも暮らしやすい設計にすべきでしょう。
若くて健康な人にはなんでもない段差でも、足腰が弱った高齢者には危険な段差になることがあります。それに車椅子だと、ちょっとした段差でも移動が困難になります。なので、トイレや洗面、浴室なども車椅子でも使用できるスペースや形状が必要になります。
今後更に高齢化が進むのですから、10年、20年後に売却する際には高齢者が住みづらい住宅は売れなくなる可能性があります。ですので、これからの住宅は高齢者対策の投資が必須ということになりますね。
高齢者向けリフォームのポイント
段差のないフラットな床は必須ですが、ドアは車椅子の幅を考慮したサイズの引き戸にしておけば移動がスムーズになります。廊下などの手摺りも、車椅子に合わせた高さで設置することが大切です。
また屋内だけではなく、屋外への動線もフラットにしておけば自力で外出する手助けになり行動範囲が広がります。これは介護される側だけではなく、介護する側の負担軽減になるのです。
高齢者にとって大事なのが、寝室からトイレまでの距離です。ベッドから直線で手摺りを使っていける構造で、車椅子でも出入りできる幅広の引き戸にするのが良いでしょう。浴室はヒートショックを防ぐために、浴室暖房を設置することも検討する必要があります。
介護を要する高齢者向けのリフォーム費用については、一定の範囲で介護保険制度や各自治体の助成制度を利用することができます。助成の対象となる工事内容や額は自治体によって異なるので、介護支援専門員などの専門家に相談することをお勧めします。