思い入れのあるマイホームを売る時、なるべく高く売りたいと思うのは人の常。かといって、売却に時間をかけ過ぎると後悔することになりかねません。そこで今回は、売却が長引いて失敗した例を通して売却する際のポイントをご紹介しましょう。
相場より高めの価格設定で値引きに応じない
立地が良くて、建物のクオリティも高い一戸建ての売却を考えているAさん。特に急いでいないということもあって、相場より高い7000万円を希望していました。でも、近隣で同等の物件相場は高くても6500万円程度です。
売りに出してから半年後に、仲介業者が6300万円で買いたいという人を見つけてきました。しかしAさんは1割も値引きしてまで売るつもりはないと、その話を断ってしまったのです。
高値にこだわった結果は?
売りに出して2年半が経過しても買手はつかないまま、周辺の地価は下落傾向にありました。その流れに危機感を抱いたAさんは、渋々値引きに応じて5800万円で売却することになりました。
結局Aさんは6300万円で売れたはずの物件を500万円も損して売っただけではなく、2年分の固定資産税と都市計画税を余計に払っているのです。
経年による建物評価の下落と税負担を考慮する
地価は上がる可能性がありますが、建物は経年に応じて確実に評価額が下がっていきます。時が経過するほど物件価格が下落するリスクが高まる上に、固定資産税や都市計画税の負担が増えるのです。
建物の評価が下がっても、地価が上がって2年前と同じ6300万円で売れるかもしれません。しかしその場合、2年間の税金分がマイナスになります。売却期間が長引くほどリスクが高くなるので、相場に近い額なら買手が付いた時に売るのがポイントです。
高い査定額に惑わされるな!
ネットの一括査定を利用して売却価格を調べる際、つい高い査定額を提示した業者に目がいってしまいがちです。しかし、査定額が比較的高いという程度ならまだしも、相場を上回る高値を提示する業者には要注意です。
大概の場合、高値で査定する業者の目的は物件をほぼ独占できる専属専任契約につなげることです。そういった業者は物件を囲い込み、売主と買主の双方から仲介手数料を得る両手取りが狙いなのです。
仲介手数料の両手取り自体は違法でも悪いことでもないのですが、そのために売却が長引き、なかなか売れないことを理由に値下げをさせられることがあります。物件の囲い込みをされると、早期に適正価格で売却するチャンスを失う可能性があるのです。
確かに高い査定額は魅力的ですが、所詮は査定であって実際に売れなければ何の意味もありません。結果的に、先のAさんと同じ失敗をすることになりかねないのです。仲介業者を選ぶ際は査定額ではなく、業者の販売体制や姿勢、担当者の人柄などを総合的に見て判断することがポイントになります。