自宅のポストに、「この地域で物件を探しています」という不動産業者のチラシが入っていたことはありませんか?
この手のチラシには、「この地域で物件を探しているお客様がいます」と書かれています。中には、誰もが知っている大手不動産会社が配布していることもあります。でも、本当に購入希望のお客様がいるのでしょうか。
殆どの場合は「おとり広告」?
自宅の売却を考えている人がこの手のチラシを見れば、「もしかして自分の物件が好条件で売れるかも」と期待してしまうでしょう。
そこで広告主の不動産会社に問い合わせすると、大概は「探していた物件はすでに見つかってしまいましたが、他のお客様を紹介します!」という答えが返ってきます。実は、始めから探しているお客などいないことが多いのです。
チラシを配布する不動産業者の目的は、お客様の物件探しではなく売主探しなのです。つまり、この手のチラシは売主を呼びこむための「おとり広告」というわけです。すべての広告が「おとり」だとは言い切れませんが、その可能性はかなり高いですね。
おとり広告に乗せられると“カモ!にされる?
不動産会社は、「おとり広告」に反応して問い合わせしてきた売主に専属専任媒介契約を結ぶことを持ちかけてきます。
売主としても、広告配布直後に成約に結びつける業者なら販売力があると思うでしょう。それが大手不動産会社なら更に信用度が高くなりますから、専属専任契約に同意し易くなるというわけです。
専属専任だと他の不動産会社に売却依頼はできないし、原則として自分で買手を見つけることもできません。つまり、専属専任契約を結んだ不動産会社にイニシアティブを握られてしまうわけです。
不動産会社は売れなければ手数料収入を得られないので、売り易くするために色々と理由をつけて値引きを要求してくることがあります。または、客付けをしようとする他の業者を排除して物件を囲い込むこともあるのです。
何れにしても「おとり広告」を配布する不動産会社は、売主の利益より自社の利益を優先する傾向が強いといえます。
買主はどの不動産会社を通して買おうと自由ですから、他社で買うかもしれないのです。そういうリスクがあるのに、わざわざ経費をかけて売主を探すのは不自然ではないでしょうか。