所有する不動産を売りに出したが、なかなか買手がつかない。もしかすると、それは媒介契約を結んだ不動産会社が、あなたの物件を“囲い込み”しているせいかも?
仲介業者が物件の“囲い込み”をしていると、あなたの物件が売るチャンスを逃してしまうことがあるのです。
今回は、どうして仲介業者は“囲い込み”をするのか、そして仲介業者が“囲い込み”をしているかどうかを売主が確認する方法をご案内しましょう。
囲い込みをする理由
仲介業者が囲い込みをする理由は簡単明瞭で、売主と買主の双方から仲介手数料を貰うためです。
他の業者に客付けされると買主からの仲介手数料をもらえなくなり、手数料収入は売主からだけの「片手」になってしいます。でも自社で客付けすれば、仲介手数料は売主と買主からの「両手」になるのです。
大概の場合、不動産会社の営業マンは歩合制なので、両手で手数料を貰えれば歩合が2倍になります。なので、担当者レベルでも他社に客付けされないように物件を囲い込もうとします。
仲介業務には広告費や営業マンへの歩合などの経費がかかりますから、手数料収入は多いに越したことはありません。仲介業者にとって、囲い込みは両手で仲介手数料を手にする有効な手段なのです。
媒介契約の種類に注意
物件を売る窓口として、まずは不動産会社と媒介契約を結ぶことになります。その際の契約形態は専属専任と専任、そして一般の3種類があります。
一般媒介は同時に複数の業者を窓口にすることになるので、この媒介形態では物件の囲い込みはできません。しかし業者からしてみれば手数料を手にする機会が減るので、あまり営業に力を入れない傾向があります。
専任媒介は窓口となるのは1社ですが、売主が自分で買手を見つけるとも可能です。しかし専属専任媒介は窓口が1社に限定され、売主が買手を探すことはできません。仲介業者が望むのは、囲い込みをしやすい専属専任媒介の形態になります。
囲い込みのチェックは意外とアナログな手法
媒介契約を結ぶと、1週間以内に不動産会社が加盟するネットワークであるレインズ(不動産流通機構)に物件を登録しなければなりません。これにより、売り物件の情報を加盟する不動産会社が閲覧できるようになります。
もし、あなたの物件が囲い込みをされていれば、他の業者がレインズを見て問い合わせても「その物件は交渉中」とか「すでに申し込みがある」と、何かしら理由をつけて客付けを拒みます。
そこで、まず不動産会社の営業マンになりすまして自分の物件について問い合せしててください。もし、何らかの理由で、紹介できないと断られたら囲い込みの可能性があります。
次に、一般客のフリをして問い合わせしてください。その時、「紹介できますよ」という返事だったら、あなたの物件は囲い込みをされているということです。
売主にとっては売るチャンスを逃す可能性がありますが、経費をかけて営業する仲介業者にしてみれば、囲い込みをしてでも収益を多く確保したいわけです。こういった売主と仲介業者の利害における矛盾は、なかなか解消できないというのが実態なのです。