政府は、タワーマンション高層階の固定資産税を上げる方向で検討に入ったようです。タワーマンションの高層階は、以前から富裕層の節税対策に利用されているとの指摘がありました。
富裕層にとって固定資産税より相続税対策をしての意味合いが強く、政府が目論む本当の狙いは実質的な相続税の増税ではないかという見方があります。では何故、固定資産税の増税が相続税の増税につながるのか、その仕組について考えてみましょう。
タワーマンション高層階の固定資産税が割安なカラクリ
不動産の固定資産税は土地と建物のそれぞれに課税され、税額は評価額を基に計算されます。固定資産税の評価額は、土地については購入額の約6割、建物は建設費の約3割が基準になります。
同じ価格の一戸建てよりマンションは評価額が低くなる
マンションのような集合住宅は、土地と建物に対する固定資産税を各戸の持ち分に応じて振り分けます。なので、1戸当りの評価額は、土地と建物すべてが対象になる一戸建てに比べて低くなります。
同じ敷地面積でも高層になるほど戸数が多くなりますから、1戸当たりの評価額はより小さくなります。その結果、タワーマンションのように戸数の多いマンションは固定資産税が軽減されるというわけです。
更に、50m2以上280m2以下の新築マンションを自分が住む住居をして購入すると、5年間の軽減措置が適用されて固定資産税が半額になります。新築の一戸建住宅は3年ですから、固定資産税についてはマンションの方がかなりお得ということになります。
タワーマンション高層階の固定資産税は不公平?
タワーマンションの高層階は人気があり、高層になるほど販売価格は高額になります。しかし、たとえ最上階でも、同じ専有面積の低層階と固定資産税の評価額が同じということなのです。
実質的な資産価値が高いにもかかわらず、固定資産税が資産価値の低い低層階と変わらないのは不公平というわけですね。
相続税は固定資産税の評価額を基に計算される
タワーマンションの高層階は、実質的に固定資産税が割安というメリットがあります。しかし、お得なのは固定資産税だけではないのです。
固定資産税の評価額は、相続税の課税に際して課税額算出の基準になるのです。つまり、タワーマンション高層階は実質的な資産価値の高い不動産なのに、相続税は割安になるということです。
政府の本当の狙いは?
実質的な相続税の増税
タワーマンションの高層階を購入しているのは、その殆どが多額の資産を持つ富裕層です。彼らはタワーマンション高層階を所有することで、税制上のメリットを利用して相続税の節約をしているのです。
タワーマンション人気が続けば、高層階の資産価値は揺るがないでしょう。であれば、富裕層の節税目的のタワーマンション高層階の需要は続くと考えられます。そこで政府は、実質的な増税を目論んでいると思われます。
見え隠れする建設業界への後押し?
富裕層にターゲットを絞った増税という側面もあるでしょうが、対象になるのは28年以降に建設されたタワーマンションということになっています。
であるなら、そこへ向けて駆け込み需要が見込まれますし、同時に中古のタワーマンション高層階の需要拡大による価格上昇が予想されます。