近年、首都圏の私鉄各社は自社路線沿線で再開発や新しい街づくりに力を注いでいます。その中で、小田急は新宿駅から海老名、大和、相模大野、町田といった郊外にかけて乗降客が多く通勤時間帯の混雑の解消が課題でしたが、いよいよ複々線化が完成するようです。
複々線化でラッシュ時の混雑が緩和され所要時間も短くなる
小田急電鉄は2017年度中に複々線化の完成を目指しており、残った下北沢地区がまもなく完成する予定です。複々線が全面開通するとラッシュ時間帯を中心に増発され、大幅に混雑が解消される見込みです。
複々線化が完成すれば、通勤ラッシュ時の混雑が解消されるだけではなく新宿英までの所要時間も短縮されることになります。
たとえば、町田駅から新宿駅までの所要時間はこれまでの48分から38分に短縮されます。混雑解消や所要時間短縮により沿線の住宅地需要が高まり、新たな転居者の流入が期待されています。
郊外住宅地の活性化に向けた取り組み
小田急沿線の27市区町村には、239万世帯、509万人が住んでいます。しかし他の地域同様、老朽化や高齢化による人口減が進んでおり、その対策が課題となっています。
そんな中、小田急は複々線化によるアクセス向上だけではなく、独自の発想で沿線の地域活性化に取り組んでいるようです。
沿線地域を活性化するには、老朽化した低利用、もしくは未利用の不動産に新たな魅力を付加することが必須となります。そこで、老朽化した中古ビルをリノベーションして新たな商業施設として再活用、学生向け賃貸物件の開発をしています。
グループ会社の社員による戸別訪問を行い、空き家などの実態調査や再活用に関するコンサルティングを実施し、リフォームや住み替え事業を推進しています。
魅力ある街づくり
座間駅前の再生プロジェクトでは、住宅のリフォームやリノベーションだけではなく、空き地をこれまでとは違った発想で有効利用する事業を展開しています。
これまでのように空き地に住宅や商業ビルを建設するのではなく、貸し農園やドックランとして活用しているのです。その他にも、子育て支援施設やカフェを設置するなど、コミュニティを活性化させて地域の魅力アップを図っています。
こういった取り組みが注目された結果、同エリアへの入居者数が増えて賃貸物件は相場より2割程度高い賃料でも満室になっているようです。
複々線化によるアクセス向上と共に、沿線エリアの再開発によって地域の魅力を向上させることは、鉄道会社と地域住民にとって大きなメリットになります。その意味では、今後の小田急沿線エリアは注目ですね。