中古住宅を購入する時、気になるのが外見には表れない隠れた欠陥(瑕疵)の有無でしょう。つまり、住み始めてからでないと分からない欠陥がある住宅かどうかですね。しかし一般消費者は専門知識がないので、なかなか瑕疵を見つけられません。
そこで頼りになるのが、ホームインスペクションです。では、そのホームインスペクションとはどんなものなのか、そして宅建法改正の狙いは何なのかをご案内しましょう。
ホームインスペクションとは
ホームインスペクションとは住宅診断のことですが、人間でいうところの健康診断のようなものです。ポイントはホームインスペクター(住宅診断士)が第三者の立場で住宅を検診し欠陥の有無や改修の必要性などのアドバイスをする点です。
売主と利害関係がない専門家が客観的に診断してアドバイスしてくれるので、買主は信頼できる情報を得ることができます。
ホームインスペクターの資格
ホームインスペクターは住宅の設計や施工に精通した建築士などの専門家で、内閣府が承認したNPO法人日本ホームインスペクター協会が資格試験を実施しています。今回の法改正の影響があるようで、2016年度の受験申込者は前年度を44%も上回っています。
ホームインスペクションの料金
ホームインスペクターの診断は目視が基本ですが、依頼主の要望があればオプションで専門機器での検査や屋根裏や床下などに入って詳しい診断を実施することもあります。ちなみに、標準的な目視による診断の料金は、5万~8万円程度が一般的です。
宅建業法改正の狙い
現時点では中古住宅を売買する際にホームインスペクション(住宅診断)は義務付けられていないので、瑕疵があることに気づかすに購入してしまうリスクがあります。政府はこの点が中古住宅の流通が活性化しない要因の一つになっていると考えているようです。
中古住宅の流通を改善する目的で、2016年5月の宅建法改正により、2年以内に既存住宅の売買時にホームインスペクションの有無を説明することを義務付けたということです。
ご存じの方も多いでしょうが、欧米に比べて日本の住宅市場における中古市場の比率は極端に低いという現状があります。空き家問題が益々深刻度を深めている昨今、中古市場の活性化は緊急を要する重要課題です。
今後、ホームインスペクターの育成増員が加速して活躍する環境が整えば、中古住宅が適正に取引され、中古市場が活性化することが期待できます。