相続した住宅で、過去に増改築をしていたというのはよくある話です。住宅を増改築したら、登記簿の変更申請をしなければなりません。しかし古い住宅だと、増改築しても変更登記されていないケースもあるので要注意です。
そもそも変更登記が必要になるのはどういうケースなのか、そして何故、変更登記がされていないと問題が生じるのか。今回は、その点についてご説明します。
増改築したら表題部の変更申請は義務
家を増改築した場合、法律(不動産登記法第37条)で1ヶ月以内に登記の表題部を変更申請すること義務付けられています。これを怠ると、10万円以下の過料が科せられます。
変更申請が必要になるのは、原則として床面積や構造、建物の用途種類が変更になった場合が該当します。
具体的な事例
・増改築により床面積が増減した場合
・居宅の近くに離れや車庫、物置などの附属建物を新築した場合
・付帯建物を撤去した場合
・屋根の種類を換えた場合(瓦からスレートなど)
・木造から鉄骨や鉄筋などに改築した場合
・建物の用途を変更した場合(住居を店舗に変更など)
変更申請に関する業務は土地家屋調査士が行い、その際に必要な書類は条件によって異なりますが、概ね以下の通り。
・所有権証明書(建築確認通知書、検査済証、工事完了引渡証明書など)
・委任状
・建物図面、各階の平面図
現状と登記内容が異なるとローンが組めない
買主がローンを利用する場合、金融機関は抵当権を設定します。その際、担保になる物件は現状通りに登記されている必要があるのです。
増改築しているにもかかわらず、変更内容が登記簿に反映されていないと担保設定ができません。となると、結果としてローンが組めないことになります。
通常、売買契約書にはローンが組めない場合は契約解除できる特約が付けられていので、売買契約をキャンセルされてしまうわけです。ましてや、その原因が売主にあるとなれば、文句はいえませんよね。
ですので、住宅を相続したら、まずは現状と登記簿に記載されている内容が合致しているかの確認が必要なのです。
もし、登記簿に増改築による変更が反映されていなければ、早めに変更申請をしておきましょう。