不動産を売却による譲渡所得には、所得税と住民税が課せられます。

とはいえ、売却額が取得費用を上回って譲渡益が出た場合の話です。

昭和の高度成長期やバブル期とは違って、近年の不動産売買で譲渡益が出るケースは殆どありません。

しかし、都市部の不動産を相続するとなると話は別。取得時期にもよりますが、相続した不動産の場合は譲渡益が出る可能性があります。

譲渡所得の考え方

課税の有無は不動産の購入額に取得費用をプラスした取得額次第ですので、まずは相続した不動産の購入額と取得費用を確認しておく必要があります。

 ■取得費用

・土地や建物の購入代金

・建築代金

・購入手数料(仲介手数料など)

・設備費や改良費

・登録免許税(登記費用を含む)

・不動産取得税

・印紙税

・特別土地保有税(取得分)

・賃貸人への立ち退き料

・建物の解体費用

これらの取得費用と、売るために掛かった費用である譲渡費用を譲渡額から差引いた金額が課税対象になります。

建物は、購入額もしくは建築費用から減価償却の相当額を差引いた金額になります。なので、築年の古い建物は減価償却費が多くなって取得費用が大幅に減額されてしまうことになります。

その分だけ、譲渡益が増えるわけですね。

もし相続した不動産の売買契約書や関係書類が残っていない場合は、取得費用を証明することができません。そういう場合は、概算方で譲渡額の5%が所得費用とみなされます。

取得費用が明らかでも、譲渡額の5%を下回っている場合は取得費用が5%になります。つまり、最低でも譲渡額の5%が取得費用をして認められるということです。

譲渡所得税の計算

相続した不動産を売却した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年未満であれば短期譲渡所得になり税率が違ってきます。

ただし、現在居住している(住民票がある)、もしくは住まなくなってから3年以内であれば長短に関係なく特別控除の対象になるので最高3000万円まで控除が受けられます。

譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-※特別控除

■長期譲渡

所得税=譲渡所得金額✕15%

住民税=譲渡所得金額✕5%

■短期譲渡

所得税=譲渡所得金額✕30

住民税=譲渡所得金額✕9%

※3年以上住んでいない場合は適応外

ここで注意すべきは、取得費用が不明だと譲渡額の5%しか認められない点です。つまり実際は取得費用が譲渡額の50%であっても、その証拠を示すことができなければ5%しか認められず、最大で譲渡額の95%が課税対象になってしまうということです。

不動産を相続したら、まずは売買関連の書類をチェック。もし見当たらなければ親戚に訊くなどして、何が何でも取得費用を証明する資料を確保しておく必要がありますね。

 
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