不動産売買において、「瑕疵担保責任」というのは重要なワードです。瑕疵とは、ザックリ言うと通常あるべき品質や機能がないこと。住宅の場合だと、通常の生活に支障をきたす何らかの欠陥について売主が責任を持つのが「瑕疵担保責任」ということです。
原則として瑕疵を発見してから1年以内であれば、買主は売主に対して損害賠償や場合によっては契約解除を求めることができます。瑕疵担保責任について契約書に何も記載がなければ、エンドレスに瑕疵について責任を追うことになってしまいます。
個人が売主の場合は特約で対処
瑕疵担保責任については、売主が宅建業者と個人では扱いが違います。宅建業者が売主の場合は引渡しから最低2年は瑕疵担保責任を負うことが義務付けられています。
しかし売主が個人だと瑕疵担保責任の期間についてルールはなく、売買契約書で瑕疵担保責任を免責する特約をつけることが可能です。つまり、引き渡し後に瑕疵が発覚しても売主は責任を負わなくて済むわけです。
とはいえ、始めから責任は負いませんよというのでは買主は心配になるでしょう。そこで一般的には、瑕疵担保責任の期間を引渡し後3ヶ月とするケースが多いようです。
瑕疵を知っていて告知しなければ特約は無効になる
仮に契約書に瑕疵担保責任の免責が記載してあっても、売主が知っている瑕疵を買主に告知していなければ特約は無効になります。売主には瑕疵の告知義務があるので、「知っていて知らんふり」は通用しないということです。
心理的瑕疵は要注意
一般的な瑕疵には雨漏りやシロアリの被害などがありますが、そういった物理的瑕疵の他に心理的瑕疵があります。これは気持ちの問題なので、人によって受け取り方が違います。
■代表的な心理的瑕疵
・その物件で自殺や殺人、自己による死亡があった
・物件の周辺で事件や事故による災害があった
・周辺に悪臭を放つ工場やごみ焼却施設、火葬場などの「嫌悪施設」がある
・周辺に「反社会的組織の事務所がある
この他にも幼稚園や小学校などは、子供たちの元気な声が迷惑に感じる人もいるので告知しておくべきでしょう。近隣に夜中に大声で騒ぐ住人がいるとか、ピアノなど楽器の音が頻繁に聞こえるようなら、告知しておいた方が無難です。
これらのことは住んでいれば分かることなので、知らなかったでは済まされません。告知義務違反になって、損害賠償請求の対象になる可能性があるので注意が必要です。
個人でも新築物件の売却は要注意
新築の概念は、建築から1年以内で住居に供されていない物件です。つまり、築1年以内に誰も住んだことのない住宅です。この場合、売主が個人であっても10年間の瑕疵担保責任が義務付けられます。
個人売買でこういったケースは稀でしょうが、新築を購入したけど転勤や家族の事情などで住めなくなって売りに出す場合は要注意です。
短い期間でも住めれば、その時点で新築ではなくなるので10年の瑕疵担保責任を回避することができます。その場合、新築ではではなくなりますが、新築同様として売れるので大きく値が下がることはないでしょう。
瑕疵は住宅そのものだけではなく、周辺環境なども考慮に入れる必要があります。これを疎かにすると後にトラブルになる恐れがあるので、なるべく多くの情報を買主に伝えておく必要があります。