寿FPコンサルティング 高橋成壽代表による、独自のビジネスモデルや仕組みを持っている面白い不動産会社のをお届けします。今回は、横浜にあるクレアという会社を紹介します。(リビンマガジン編集部)
株式会社クレアの外観
クレアという不動産会社が横浜にあります。雑誌の名前ではありません。専門は注文住宅用の土地探しです。そう聞くとどこの不動産会社でもやってくれそうです。しかし、実は注文住宅用の土地探しほど面倒な仕事はありません。何故かというと、施主の予算と建物+土地の値段が合わないことが多いため、非常に難航しやすいのです。
注文住宅を建てる場合、まず設計者や工務店選びから始まります。「デザイナーズ住宅に住みたい」「自然素材をふんだんに使った健康住宅にしたい」「アメリカの西海岸風にしたい」、など施主の夢は膨らみます。夢を見過ぎて収集がつかなくなることもしばしば。
一方で、予算には限りがあります。例えば年収500万円のご家庭で3,500万円の家を建てたいとします。建物価格が2,000~2,500万円とすると、土地につかえる予算は1,000~1,500万円とです。注文住宅にこだわる施主は、いい意味でわがままな方が多いため、住まいのエリアにもこだわります。「●●線の沿線がいい」「海に近い▲▲エリアがいい」など、出るわ出るわ。正直申し上げて、不動産業者ではないファイナンシャルプランナーの私であっても、エリアと予算が合っていないことがすぐにわかります。
しかし、クレアの代表である志村社長は、一見無茶とも思えるお客の要望を真摯に受け止めます。その上で、お客の要望に合う土地を探すのです。探す範囲は事務所がある横浜市都筑区を超えて町田、藤沢、海老名、茅ヶ崎、平塚など神奈川県内一帯です。
志村社長は、自身が二級建築士の資格を有し、「家」に対する愛着を人一倍持っている経営者です。お客が注文住宅を建てることによって、どのようなことを実現できるかに思いを馳せます。実際にクレアで土地を探しているお客に話を聞く機会がありました。なんと、初回の相談から2~3年経過しているにも関わらず、相談が続いており非常に驚きました。不動産は同じものが2つとないため、スピード勝負といわれています。そのため時間のかかるお客は敬遠されがちです。しかし、そういったお客にも変わらない姿勢が、顧客の心をつかむのだろうと、納得がいきます。
志村社長
志村社長は、「マイホームは買うものではなく、つくるもの」という信条で土地を専門に紹介をしています。この姿勢は、神奈川県内では有数の工務店や小規模でニッチな工務店の支持を集め、様々な建築のプロから土地探しを依頼されています。今では、クレアの施主の9割が工務店の紹介でやってくる流れができています。工務店にとってもスムーズに建築を受注するために、クレアを活用していることがわかります。
土地の情報は、レインズという宅建業者向けの土地情報サイトに掲載されています。どの不動産会社も見ることのできるサイトなのですが、なぜクレアだけが土地の目利きができるのでしょうか?
志村社長によると、
①お客自身に土地を見る目を養ってもらうこと
②お客の希望に優先順位をつけること
③納得して土地を選択されるまで寄り添うこと
を心がけているとのこと。
現在は、注文住宅の土地探しの他にも、不動産コンサルティングも行っており、コンサルタントの立場で地主や投資家の方への有償のアドバイスも提供されています。
最近では、終の棲家の維持管理、相続や権利関係の整理、空き家の利用・活用の相談も増えており、不動産をほったらかしにさせない管理サービスも手掛けています。売ってナンボの不動産の世界から、お客の問題解決を優先したアドバイスのニーズは、マイホームから相続へ世代を超えて支持されているようです。
私自身、自宅を注文住宅で建てる際に土地の仲介をお願いしたのが他ならぬ志村社長です。その際は、宅地選びだけではなく、工務店を紹介してもらうなど、手厚く相談に乗ってもらいました。また、評判通り、①押し売りしない。②自身が建築士であるため建築を前提にした土地探しのアドバイスがもらえる。③決して匙を投げない。④将来的に自宅を売却することになったときにどの道路付けであれば安くなりづらいなど、複眼的な視点で質問に答えてくれる。⑤注文住宅が好き。などなど本当にお世話になりました。
プロが安心して任せられるプロはそういません。土地探しにおける稀有な存在、それがクレアと志村社長なのです。