こんにちは、ファイナンシャルプランナーの高橋成壽です。

最近、自宅の売却相談を受ける機会が増えてきました。
理由は様々ですが、長年住み慣れた住まいを売却するまでには、
色々な葛藤があったであろうと思います。

Aさんは、離婚をきっかけに自宅を売却することになりました。
Bさんは、夫の死を境に自宅を手放すことを決めました。
Cさんは、リフォームの見積もりを見て広い家を手放しました。
Dさんは、介護施設への入居に向けて自宅を売りました。
Eさんは、親の相続が落ち着いてから実家を売りに出しました。

自宅を手放すときに皆さんが一様におっしゃるのは、
家をそのまま残してほしいという要望です。

長年住み慣れた我が家や、子供のころから住んでいる実家。
できることなら売りたくない。売るなら建屋をそのまま残したい。
そのようにおっしゃる方が多いのです。

多いのですが、そんなことを言っていたら売れません。
仮に売れたとしても、すぐ取り壊されるでしょう。
だって、買主の自由ですから。

10年ほど前に、個人間売買の手伝いをしたことがあります。
知り合い同士の売買でしたが、知り合いといっても、
同じマンションに住んでいるくらいの間柄。

親しいわけではなかったのでしょう。

何故か不動産会社の仲介を入れずに、個人間売買を実施。
契約書は弁護士に作成させました。
今考えると、色々問題がありそうですが、
売り主の希望は、リフォームをしないでほしいというもの。

私は買主側のサポートだったので、
「何を自分勝手な・・・」と思っていましたが、
買主さんは、もちろんです・・・と快諾。

売買の後どうなったのかは私は知らないのですが、
あの買主の方なら、そのままにしているのではないだろうかと思います。
それほど誠実そうな印象の方でした。
(そもそも、誠実な方でなければ私は仕事を受けていませんでしたが・・・)

話を戻しますと、こだわりをなくして売れば、
それなりの値段で売れるところが、
こだわるあまりいい値段で売却ができないばかりか、
買い手がいない。ということが起こります。

相談をするのが、不動産会社だと、
「売れればいいんでしょ!?」
と思われても無理はないのですが、
ファイナンシャルプランナーの立場では、
こだわりを存分に聞き出すことができます。

ただ、こだわりを持ちすぎてスムーズに売却できないのではもったいない。
売却は手段であって目的ではないのです。
維持費がかかるから。老人ホームに入るから。老後資金が足りないから。
色々理由はあるにせよ、感情が勘定を邪魔してしまういい例です。

高く売りたければこだわりをなくし、
市場に身をゆだねる。
ときにはそのような感覚が必要なのです。

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ