知人女性A子さんの話です。
A子さんの実家は相当な資産家。
遺産相続でかなり広い土地をもらいました。
政令指定都市の中でも人口が多い都市、しかもその場所は都心にも近く便利な土地でした。
100坪は越えているといいますから、安く見積もっても土地だけで8000万円くらいの価値があるのではないでしょうか。
A子さんの夫が、その土地に自分名義の家を建て夫婦二人で暮らしていました。
また、結婚するときに持参金として数千万円を受け取っていたそうです
。
夫婦は、残念ながら子供に恵まれませんでした。
A子さんは、「自分の財産は姪のB実ちゃんに上げる。夫より絶対長生きするし。あの土地は夫には絶対に渡さない」といっていました。しかし、当時A子さんはまだ若かったので遺言書は作成しなかったのです。
10年後、そろそろ遺言書を書こうとした矢先に彼女は亡くなりました。
彼女には子供はいませんでしたので、配偶者と兄弟たちが財産を相続する事になりました。
彼女が財産を残したかったB実ちゃんは残念ながら、相続権がありません。
今さらながら、A子さんが遺言書を書かなかったことが悔やまれます。
結局、彼女の財産である土地とほとんどの現金は夫が、現金の一部は兄弟に分けられたのです。
さて、例の土地ですが結局どうなったと思いますか?
A子さんの夫は、数年後に亡くなりA子さんにとっては赤の他人である夫の兄の子(義理の姪)が相続する事になったそうです。
A子さんが夫には相続させないと言っていたのは、実家の土地を他人が相続するのが嫌だったのです。
A子さんの実家の人は、それに関して諦めたのか何も言ってないのですが、近所の人たちは「なんで赤の他人があんな広い土地をもらうわけ?」と憤っているとか。(関係ない人が怒るというのもおかしな話ですが)
この事例から考えても、お子さんがいないご夫婦の場合は、遺言書は絶対に必要ではないでしょうか。
いつ何時何が起こるかわかりません。
まだ大丈夫と思っていても、早めに遺言書を作成することをお勧めします。
蛇足ですが遺言書を作ると長生きするというジンクスもあるようですよ。