住宅ローン問題支援ネット の高橋愛子です。
不動産投資をしている方、
これから不動産投資を始める方、
の動機としては、
●老後は、不動産の賃料収入で安定した生活を送りたい。
という理由の方が多いのではないでしょうか。
年金だけでは不安なので、若い時から何かしらの年金生活への備えをしている方は沢山いると思います。
また、
●老後は、海外へ移住して悠々自適な生活を送りたい。
などと考えている方もいると思います。
私も、漠然と将来は海外に移住してゆっくりとした時間を過ごすのもいいなぁ~・・
と妄想したりします。(東京が大好きな私なので、現実的には無いと思いますが。。)
そこで今日は、
日本に不動産を持っていて、海外に居住している方の不動産売却と
そういった非居住者から購入する不動産購入には注意が必要。
というコラムを書きます。
日本人だけれども日本に住んでいない非居住者から日本国内にある不動産を購入して、
その売買代金を国内で支払う買主は、非居住者に対して売買代金を払う際、10.21%の所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなくてはなりません。
つまり、通常の売買ですと、売買代金全額を売主へ支払い所有権移転をしますが、
非居住者が売主の場合は、売買代金から10.21%を差し引いた金額を売主に支払い、
買主からその源泉徴収税を納税しなくてはなりません。
※ここで注意なのが、納税義務者は買主ということです。
その源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、原則として、
売買代金を支払った月の翌月10日までに納めなくてはなりません。
ただし、下記の場合の不動産の場合は源泉徴収の必要はありません。
□個人の方で自己又はその親族が居住用に使う不動産で1億円以下の不動産
の場合です。
つまり、法人が購入する場合は、源泉徴収が必要で、投資用不動産の場合は
売買金額が関係なく源泉徴収をして買主が納めなくてはなりません。
10.21%というと、、
3,000万円だったら、306万円
1億円だったら、1,021万円
です。結構大きい金額です。
もちろん、これは源泉徴収なので、売主が確定申告をしてあとで納税の義務が無い場合は、
申告後に戻ってくるお金です。
なぜこういった義務があるかというと、
非居住者に対してもしっかりと納税をしてもらうための措置で、
海外に行ってしまって、確定申告もせずに納税を間逃れないようにするためとのことです。
(税務署に確認)
このケースでの問題点は大きく分けて2つあります。
1.非居住者の売主が売却代金全額を売却時に必要とする場合。
売主が不動産を売却して、抵当権等の担保権の返済をしないとならない場合で、
売買代金と担保権がギリギリもしくは、予め10.21%が売却時に手に入らないことを
計算しておかないと予定していた資金繰りが狂ってしまうということになります。
(3,000万円の売買をしたとしても、売買時に手元に残るのは2,693万円ということ)
また、債務超過の不動産の任意売却の場合は、担保を持っている抵当権者の了解を得て
返済額を決めておかないとなりません。了解が得られないケースもあり、
販売金額を調整しなくてはならないので、慎重に交渉することが大切です。
2.納税義務者が買主なので、売買時に10.21%を売買代金から
差し引いて預かっておく必要がある。
非居住者からの不動産を購入する場合の源泉徴収義務があることを知らずに売買をして
売買代金全額を売主に支払ってしまい、後から納税義務があることを知って売主に10.21%を請求しても、
「払えない」「聞いてない」「海外にいて連絡が取れない」など後から言われて、
支払ってもらえないケースが多いのです。これがトラブルになります。
知らずに取引を仲介してしまった不動産業者も仲介責任が発生する事態になりかねません。
実務的なことで言うと、売買決済時には、
買主から支払調書をもらうことや確定申告をすることなどがあげられますが、
税理士や税務署など税の専門家に相談することをおすすめします。
この件に関する税務署のページ↓
このことは不動産業者でも知らない人が多く、後でトラブルになることもあります。
「売主さんが、海外に住んでいる投資用不動産の場合は、源泉徴収が必要」
ということを知っておくだけで、トラブルが防げます。
そういった売主さんからの不動産取引の場合は、仲介する不動産会社さんに相談してみてください。