住宅ローン問題支援ネット の高橋愛子です。

マンションや戸建てを購入するとついつい毎月の住宅ローンの返済額に目が行きがちですが、

その他、経費や固定資産税などの税金がかかります。

マンションの場合は、毎月管理費と修繕積立金というものがあり、

毎月、マンションの管理組合や管理会社に払っていかなければなりません。

これは、「区分所有法」という分譲マンションの法律があり、定められています。

滞納すると、競売を申し立てれられ、マンションから追い出されることもありますから、要注意です。

そんな、お客様からのご相談です↓

「マンションの管理費等の滞納で管理会社から競売を申し立てられた。

住宅ローンも沢山残っているし他に抵当権を付けられている

物件なので、高橋さんのブログを見たのですが、

無剰余取消しされますよね?」

ということ。

無剰余取消しとは?

私のブログ参照↓

競売が取消しされるとき


確かに競売は優先される債権者がいる場合は、

配当が無いとみなされた場合は裁判所から取消しを言い渡されます。

今回も優先される住宅ローンや抵当権者の債権でオーバーローンなので、

完全に無剰余取消しになるでしょう。。

と言いたいところですが、、

違います!!

管理費等の滞納の場合のマンションの管理組合からの競売は、

59条競売

なので、そのまま続行されることがあるのです。

59条競売?

詳しく解説すると、

分譲マンションには、「区分所有法」という法律があり、

その中の59条にこんな決まりがあります↓

(区分所有権の競売の請求)
第59条  

1.第57条第1項に規定する場合において、第6条第1項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるとき、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。

2.第57条第3項の規定は前項の訴えの提起に、前条第2項及び第3項の規定は前項の決議に準用する。
3.第1項の規定による判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から六月を経過したときは、することができない。
4.前項の競売においては、競売を申し立てられた区分所有者又はその者の計算において買い受けようとする者は、買受けの申出をすることができない。

というもの。

でも、競売にしても、管理費の回収は優先債権者に配当が行ってしまうので、

管理組合は滞納管理費の回収ができないですよね。

だったら、やっぱりこの競売は無剰余で取消しじゃないの?

と思われがちですが、

59条競売は、滞納金の回収よりも、滞納した区分所有者に出てってもらうことが目的。

そして、競売は競売で落札した人に滞納管理費の支払い義務が承継されるので、

競売で落札した人に滞納した管理費は払ってもらえる。

ということで回収もできる。

つまり、管理組合にとっては、メリットがあるわけです。

でもデメリットもあります。

・競売をするにも費用がかかる

・59条により競売にする旨の判決を取らなければならず時間がかかる

・区分所有者の4分の3以上の賛成をとらなければならない

・競売を申し立てられても状況によっては裁判所が許可しない場合がある

など簡単にできることでもないのです。

今回のご相談者さんのケースでは、それをすべてクリアした上での

競売開始決定のようです。

でもこれから任意売却で管理組合と話をしていく予定です。

ここまでくると、管理費等の滞納分プラス延滞金、そして競売にかかった費用

を全額支払わないと競売の取り下げに応じてもらえないことがほとんどで、

過去には全額払うと言っても、競売の取り下げに応じず、

断固、区分所有者から排除したいという姿勢を貫いた管理組合もありました。

分譲マンションは管理費や修繕積立金など区分所有者全員の協力で

マンションの維持がなされています。

59条競売ということがあるということを頭に入れて、

できる限り、マンションの管理費等は支払っておいた方がよいです。

でも、相当な金額を滞納しないとなかなか59条競売までは行われないことがほとんどです。

管理費の滞納をしているということは、

他の債務も滞納しているでしょう。

支払の優先順位を間違えないことも大切です。

 
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