みなさん、こんにちは。フジ相続税理士法人・代表社員の髙原です。事務所名の通り、当事務所は「相続」に特化した資産税専門の税理士事務所です。毎年、450件以上の相続税案件を取り扱っています。
本コラムでは、相続税の今後の動向や時事的な話題を盛り込みながら、相続税・贈与税の基礎知識、難解な税務上の用語、特例の解説、実務上でよく受ける質問に関する回答等、できるだけ分かりやすくご説明していきたいと思っています。
第1回目となる今回は、相続税の「基礎控除」についてふれたいと思います。
無料相談のお電話などで、時々、「相続税は、みんな払わなければいけないの?」といったご質問をお受けすることがあります。
相続税には基礎控除(遺産の中から差し引ける金額)があり、相続税を納めなくてはならないのは、全死亡者のうち10%以下の方のみです。このような大きな基礎控除が設けられているのは、亡くなった方の収入や財産で生活していた遺族のその後の生活が脅かされぬよう、誰でも、一定の金額までは税金を免除するという主旨によります。
しかしながら、みなさまもすでにご存知かと思いますが、平成27年より、相続税が増税となりました。改正前は基礎控除5,000万円+法定相続人の数×1,000万円だったものが、改正後は、3,000万円+法定相続人の数×600万円となりました。率にして40%の縮減です。これにより、それ以前は全死亡者のうちわずかな方しか課税されなかったものが、より多くのケースで納税義務が生じるようになっています。
基礎控除額を比較してみると、以下の通りになります。
父親が亡くなり、相続人が妻と子ども2人の場合には、改正前だと5,000万円+3(名)×1,000万円なので、8,000万円以下の遺産には、相続税がかからない計算でした。これが、改正後は3,000万円+3(名)×600万円となり、4,800万円を超える資産があった場合には納税対象となる可能性が高いです。
これは、たとえば、都内に自宅があり、退職金など多少の預貯金があるだけで、基礎控除を超えてしまう可能性が出てきます。それだけに、相続対策の有無が大きなカギとなる時代に突入しているといえます。
また、法定相続人とは、被相続人(亡くなった人)の遺産を相続する権利を有する人を指します。
その範囲は、民法に定められており、配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人になります。それ以外の順位は、(1)直系卑属(子や孫)、(2)直系尊属(父母や祖父母)、(3)兄弟姉妹…となっており、上位の人がいるなら、下位の人は相続人にはなりません。法定相続分などの細かい決まり等については、また次の機会に詳しくご説明したいと思います。