LGBTのライフプランニング・サポートを手がけ、自身もゲイであるIRIS須藤あきひろ代表に、不動産や住宅の現場で感じる問題点を紹介いただきます。(リビンマガジンBiz編集部)
今回は、お客様のお部屋探しをお手伝いしている際に、実際に起きたことをご紹介します。
お客様はゲイカップルの方達でした。仮にAさんとSさんとします。
何件かお部屋を内見された後に、物件を気に入り申し込みしてくださいました。
決めた物件の概要には「2人入居可能」と記載がありました。
【物件概要】
賃料:16万円ほど
エリア:渋谷区内
広さ:約50㎡
間取り:1LDK
基本的には2人入居可能の場合だと「血縁関係にある家族」や「婚姻関係」にあることを指すことが多いです。ですが、実際には婚姻関係などがなくても「男女のカップル」の場合は審査が通過することがほとんどです。
しかしこの「2人入居可」物件でも、同性カップルの場合は入居審査に大きな影響を与えることが往々にしてあります。
特に男性同士の「ゲイカップル」はなかなか審査が通過しません。
審査落ちする理由は「同性カップル=ルームシェア」の扱いになるからです。
今回のお客様も同様な理由から、審査で落ちてしまいました。
収入面では全く問題がなくても、この「同性カップル=ルームシェア」の縛りのせいで住みたいところにも住めない人たちが沢山いるんです。
ところでみなさんは、「パートナーシップ」の証明書ってご存知ですか?
パートナーシップとは、男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備えた戸籍上の性別が同じ二者間の社会生活における関係を「パートナーシップ」と定義し、一定の条件を満たした場合にパートナーの関係であることを証明するものです。
現在、東京では渋谷区と世田谷区のみで実施しています。
簡単に言えば、同性の婚姻届けみたいなものです。
日本では同性婚は認められていないので、このパートナーシップ証明書の法的効力は薄いです。しかし、行政が発行してくれる唯一の同性カップルの証明書です。
ですが、これを発行するためにも、まずはパートナーと渋谷区or世田谷区内で「同棲」をする必要があるのです。
AさんとSさんも現時点で2年間ほどお付き合いをされており、近い将来パートナーシップも利用していきたいとお考えでした。
このことを管理会社の方に説明したところ、「なんと言われても同性カップルの方は無理なんです。2人が恋人という証明書がないですから…」と言われて唖然としました。
ここまでくるとなんだか、悔しいですよね。
ただ、「好きな人と一緒に住む」だけのことがこんなにも難しい社会。
同性カップルはカップルとして認めてもらえない現状。
こんなことがあるから、同性カップルの大半は1人名義で契約して2人で住むということが多いんです。
これは契約違反になるので、何かトラブルが発生した際には借主は不利になるので弊社ではお勧めしておりません。
近い将来、誰もが住みたい家に住める社会になっていること強く望みます。
(画像作者・「ふぁい」)
次回は、ぶっ飛んだ街、新宿二丁目について書いていきます!