7月3日公開された路線価を元に、前編「路線価が発表されたので、森友学園の小学校予定地を調べてみた」では、森友学園の小学校予定地や、築地・豊洲市場の路線価を紹介した。第二弾は、野球で盛り上がったあの場所や、話題の人気スポットの価格の路線価を調べてみた。今回も走る不動産鑑定士 藤田勝寛氏に監修をお願いした。(リビンマガジン編集部)


今年も好調なあのチーム。広島マツダスタジアムの価格は1年で変わった?


マツダスタジアム (画像=Flicker)

■マツダスタジアム 広島県広島市南区南蟹屋2-3-1(敷地面積:22,964.m²)

2016年に圧倒的な強さて24年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした広島東洋カープ。カープ女子なる言葉も生まれ、全国的な人気チームとなった。今や12球団で最も入場券が手に入らないといわれる本拠地マツダスタジアムの値段に変化はあったのだろうか。

2016年度路線価:20万円/㎡ 土地価格:45億9,280万円
2017年度路線価:21.5万円/㎡ 土地価格:49億3,726万円

前年と比べて約8%上昇していることがわかる。

【走る鑑定士:藤田勝寛氏によるコメント】

旧広島市民球場は市街地にあったため地価も高く、現在のスタジアムに移転して地価(単価)は3分の1程度になりました。広島駅からも近く、球場自体も大きくなり、フードコートやカフェなどのハード面の充実にも成功しています。地価もやや上昇しており、プラス面が目立ちますね。
良い点:アクセスも良くなり、ハード面の充実に成功したため注目度が上がったため、カープ女子のようなファン獲得にも成功。
悪い点:旧広島市民球場と比較して繁華街から離れてしまったため、試合後の一杯を楽しみにしている昔ながらのファンにとっては物足りない面もあり?

銀座にオープンした新たなランドマーク GINZA SIXの路線価は?


GINZA SIX (画像=ぱくたそ)

■GINZA SIX 東京都中央区銀座6丁目10-1(敷地面積:8,840㎡)

今年4月に開業した大型商業施設GINZA SIX。延べ床面積14万7,600㎡と、銀座では久しぶり大型開発となった。運営母体は末の時点で「来館者、売上高ともに計画を上回っている」と人気だが、路線価に変化はあったのだろうか。

2016年度路線価:2,864万円/㎡ 土地価格:2,531億7,760万円
2017年度路線価:3,704万円/㎡ 土地価格:3,274億3,360万円

前年と比べて30%も上昇した。

【走る鑑定士:藤田勝寛氏によるコメント】
この地点に厳密には路線価はなく、個別評価の地域であるので、隣の銀座5-8(みずほ銀行)の正面路線価を採用して計算しました。前年比で29.3%の上昇率となっており、土地だけで3,000億円越えという圧巻の結果となりました。なお、銀座四丁目の交差点は更に地価が約9%も高く、坪当たりの単価で1億3,300万円となっています。
良い点:やはり銀座の中央通り沿いは別格のブランドであると再認識。
悪い点:GINZA SIXの入居テナントがあまりにも高級ブランドばかりであり店内に客が多いものの、実際に買い物をされる方はほんの一握りでは?と思われる(地下の食品店街と最上階のスタバは除く)。今後、東京オリンピックまで地価は上昇するとの見方もあるが、現時点でもかなり上がりすぎな懸念あり。

日本最大のバスターミナル「バスタ新宿」


バスタ新宿 (画像=写真AC)

■バスタ新宿 東京都渋谷区千駄ヶ谷五丁目(敷地面積:18,416㎡)

2016年4月、JR新宿駅に直結する国内最大級のバスターミナル「バスタ新宿」が開業した。交通渋滞解消が期待されてのオープンから1年。価格に変化はあったのだろうか。

2016年度路線価:750万円/㎡ 土地価格:1,381億2,000万円
2017年度路線価:823万円/㎡ 土地価格:1,515億6,368万円

前年と比べて約10%上昇していた。

【走る鑑定士:藤田勝寛氏によるコメント】
北側の甲州街道の路線価で計算しました。用地取得費だけで1,500億円以上と試算されましたが、直結の商業ビル「NEWoMan」と併せて新たな観光スポットにもなっています。新宿駅南口から2分であり将来的な資産性も高いと考えます。
良い点:新宿駅周辺に19か所に分散されていたバス停留所が集約され、利便性が高まった。
悪い点:バスタ新宿に出入りするバスの数が多くなったことやタクシーの出入りが増えたため、国土交通省は国道20号(甲州街道)の渋滞緩和になるとの説明があった。しかし、現時点ではあまり感じられない。ターミナルの中も混雑が見られ、トイレが足りないとも声も。

文春砲の発射基地、文藝春秋 VS. リビンマガジン編集部


週刊文春 (撮影=リビンマガジン編集部)

■文藝春秋 東京都千代田区紀尾井町3-23(敷地面積:1667㎡)

昨年から、芸能人の不倫から政界の疑惑までを暴き立て好調な「週刊文春」。「文春砲」はすっかり定着したが、雑誌を刊行する文藝春秋社本社の価格は下記の通り。

2016年度路線価:249万円/㎡ 土地価格:41億5,083万円
2017年度路線価:266万円/㎡ 土地価格:44億3,422万円

前年と比べて約7%上昇していた。

【走る鑑定士:藤田勝寛氏によるコメント】
前年と比較すると地価は+10.7%。堅調に上昇しています。
赤坂御用地や皇居にも近く、ホテルニューオータニ、上智大学、国立劇場もある落ち着いた空間から様々な情報が発信されていることがわかります。かつては山の手の住宅街だった面影はありませんが、オフィス街として都心のどの方面にもアクセスが良好のすぐれた商業地となっています。
良い点:アクセス抜群の立地。そして自然環境にも恵まれている。資産価値(単価)でもライバルの新潮社に完勝(約3.77倍)。
悪い点:高層化が進む一方で自然との調和にも配慮しており、週刊文春が問題を起こさない限り特に問題は見当たらない。


リビンマガジン編集部

■リビンマガジン編集部 東京都中央区日本橋堀留町1-8-12(敷地面積:1139㎡)

では、我々リビンマガジン編集部の所在地、中央区日本橋堀留町はどうだろうか?一方的にライバル視している週刊文春に、路線価だけでも勝つことはできたのだろうか?

2016年度路線価:182万円/㎡ 土地価格:20億7,298万円
2017年度路線価:192万円/㎡ 土地価格:21億8688万円

前年と比べて、約5%の上昇にとどまった。

【走る鑑定士:藤田勝寛氏によるコメント】
前年と比較すると地価は+5.5%の上昇と、中央区の商業地の中ではやや落ち着いている印象です。周辺はマンションも多く、商業、住宅混在の歴史ある人気の街です。
良い点:中央区内においては比較的賃貸物件が安く(それでも1DKで9~10万円程度するが)、東京駅等への接近性も高く、歴史ある街並みで単身者に人気の街。電車の混雑度もほどほど。
悪い点:大きなスーパー等が少ない点は、居住するにはやや不便かもしれない。

結果は惨敗。しかし土地価格では負けようとも、報道力は負けません!文春に追いつけ、追い越せで頑張ります!

(監修)
藤田勝寛
資格:不動産鑑定士、行政書士、宅地建物取引士、相続診断士
(株)あかつき不動産サービス(不動産鑑定事務所):代表取締役
士業ネットワークのあかつき不動産(株)(不動産仲介会社):代表取締役

※本文中の価格(総額)は7月3日発表された路線価に基づきます。

 
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