マイホーム購入の夢を叶えたラッパー・十影(とかげ)
「ガキの頃から夢なら一個だけ、オレもいつかは一戸建て」と自宅を購入したことを歌にした楽曲「ラッパー、家を買う。」が不動産業界内外で話題になっている。
HIP HOPは社会への不満を歌にするものが多いが、幸せの象徴である一戸建てを購入した楽曲は異例だ。「ラッパーは自分のリアルを歌にする」と曲を作った十影(とかげ)は笑顔で語った。
2016年の12月に子供の頃からの夢だった一戸建てを購入した。
自らが「十影城」と呼ぶ自宅は葛飾区内にある物件は新築駐車場付きの3LDKだ。「自分は他に物欲がなかった」と車や宝石、ネックレスには目もくれず、ただ夢に向かって走り続けた。
本格的に探し始めたのは2016年4月ごろ。いくつもの不動産会社を回ったが、相手にされなかったという。「人相が悪かったからでしょうね」と笑うが、諦めず不動産会社を探しミュージックビデオにも登場する担当と出会ったという。引き渡し後も、ひんぱんに連絡を取り合う仲となった。
「自慢」ではなく「感謝」の楽曲制作
ラッパーとしては、その道ではよく知られた人物だ。
10年以上音楽活動を続け、「フリースタイルダンジョン(テレビ朝日系)」を始め数多くのバラエティーTV番組に出演するなど第一線で活躍し続けている。コミカルな曲調にネタ要素や毒をふんだんに盛り込んだ歌詞がラッパー・十影の特徴だったが、今回の楽曲は少し違う。
郷愁を感じるバックトラックにストレートな歌詞。発表後、不動産会社のブログやSNSで反響があり、普段HIP HOPを聴かない人にも届いたという。「単純に家を買った自慢の曲にはしたくなかった。不動産会社の担当者含め周りの助けがあり、一緒に夢を叶えた曲調にしたかった。普段HIP HOPを聴かない人や不動産で働いている人から『感動した』や『共感した』と心に刺さったのならうれしいです」と喜びもひとしおだ。
安定を武器にする十影戦略
また、ラッパー業の傍ら平日には会社員として働いているという。平日は会社勤め、週末はラッパーとして二足のわらじを履いている。会社勤めと一戸建ての購入、ラッパーには似つかわしくない安定を手に入れている。「安定するといい曲が書けなくなるラッパーは多い」と語るが、「(自分は)逆に安定があるから面白いことや、挑戦的な楽曲づくりが出来る」と新しい可能性を感じている。
1つ大きな夢を叶えた十影に次の夢を聞くと、「結婚、子どもです。そして、子どものために2軒目、3軒目と十影城を建てたい。音楽の夢はMステに出ることです。」と最後は十影らしくユーモアたっぷりに答えた。