我が国の最難関・東京大学には「男女不均衡」という深刻な問題があることをご存じだろうか。実は、東大における学生の男女比率が極めていびつで、女子学生は全体の2割にも満たないのだ。先進国なら一流大学の男女比は、ほぼ半々なのが当たり前。東大は極めて異常な水準にあるといって過言でなく、早急な対策が訴えられている。

しかし、過去10数年の間も一向に改善されないのが本当のところ。大学側も、これ以上はうかうかしていられないということか、今年度入学の女子生徒に返済不要の家賃補助として3万円を毎月支給するという大盤振る舞いにでた。

「男子学生への逆差別」と反発の声もあったが、何とかこの4月から始まった新制度の成果はいかに新入生であふれかえるキャンパスで聞いてみた。


定員100に300名超が殺到

制度は「実家から東京大学駒場キャンパスまでの通学時間が90分を超えていること」が申請の条件となる。居住の物件は、大学側が提携している民間のマンションに限っており、100室限定となっている。当然、定員も100人になる。
 家賃補助による金銭的負担を減らすのと同時に、地方から上京する女子学生のために安全な住環境を整え、東京での生活に対する不安を減らすことが狙いだ。

家賃補助制度の効果は?

東京大学広報によると制度への反響は大きく、申請者は300名を超えたという。今春、東大の門戸をくぐったのは3,120名、そのうち女子学生は636名だったから、女子新入生の約半数が申請をしたことになる。
当初の趣旨通り、女子学生の増加にも貢献しているとみられ、入学生の男女比率は11年ぶりに女子が2割を超えたという。
ただ、東大当局では家賃補助制度が志願者の増加につながっているかどうかの検証はこれからという。来年度以降も制度を継続するかも今後に決める。

指定マンション「学校から遠い」不満の声

実際に、駒場キャンパスの女子学生20名に取材したところ、家賃補助を受けている人は2名だった。

今春、静岡県から上京し、晴れて東大の一員に加わった女子学生は、報道でこの制度を知った両親が教えてくれたという。東大側もこの家賃制度を導入した理由に、地方出身の女子学生の住まいについて心配する保護者が多かったことをあげている。やはり両親の懸念解消として、一定の成果はあるようだ。大学指定のマンションに関しても「不満はありません。満足しています」と新生活に満足の様子。

一方で、制度に申し込んだがあえなく落選した学生も多い。制度はまず学校指定のマンションから住みたい部屋を選び、入居に問題がなければ補助が適用されるという。複数の生徒から申し込みがあれば、抽選で入居者が選ばれる仕組みだ。そのため、「希望したマンションに入居希望者が多く抽選から落ちてしまった」と、不満の声もあった。「東大に受かって、マンションに落ちる」という皮肉な結果に何とも言えない心情だという。
その他に、「指定の部屋が学校から遠い」という声もあった。
さらに、東大を志願する後押しになったかの質問に関しては、多くの女子学生が「関係ない」との答えだった。

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ