北朝鮮のミサイル実験が活発化している。今年に入ってからすでに3回の実験が行われ、今月6日には4発もの弾道ミサイルを日本海に向けて発射するなど、傍若無人ぶりが際立ってきた。安倍晋三総理も「北朝鮮の脅威は新たなる段階に入った」と談話を発表し、緊張は高まるばかりだ。
もし日本列島にミサイルが撃ち込まれたら、と現実的な恐怖を感じる市民も増えてきたのではないだろうか。自宅にミサイル攻撃にも耐えられる核シェルターを設置すると、いくらくらいの費用が掛かるのだろう。核シェルターについて取材した。
原爆着弾を想定した強度
織部精機製作所(神戸市)では、普及率世界1位のスイスの基準をもとに核シェルターを製造している。たとえ広島型の原子爆弾が660メートルという至近距離に投下されても生存可能だという。
設置する方法は大きく分けて2種類ある。新築住宅の建築段階で地下室を作り、核シェルターにする方法と、一から地中に建設する方法だ。広さ24㎡なら、定員は8~10人。最低でも2週間は生活ができるという。
新築住宅の方法では、基礎部分を活用して設置するため、建設費に1,000万円ほど上乗せすれば設置できる。一からでは約2,500万円の建設費かかるという。
シェルター購入者の8割が医師!?
ではどういった人たちが自宅にシェルターを設置しているのだろうか。
同社によると、一般家庭用に限ればなんと約8割の施主が医師だという。高所得者であるとともに放射能に対する知識があり、危機意識を持っているからとのこと。リテラシーがある僅かな国民がそういった行動をとっている現実には、一抹の不安を感じずにはいられない。
(画像は記事内に出てくる核シェルターではありません)
普及率100%のスイス
日本のシェルター普及率は、全人口に対し何%の人を収容できるシェルターが存在するかを基準にして0.02%と著しく低い。世界のシェルター事情に目を向ければ、スイス100%、ノルウェー98%、アメリカでも82%と高い普及率があるのだ(NPO法人日本核シェルター協会調べ)。スイスでは1949年より国をあげてシェルターの研究がすすめられ、法律により建物の建設時には核シェルターの設置を義務付けている。
長野県で注文住宅を建てているミツヤジーホームでは、注文があれば核シェルターを設置することができる。スウェーデンから輸入した建材を使ったもので、約40㎡のもので1,300万円ほどだ。
「東日本大震災の直後は県外からの問い合わせが多くあったが、実際に核シェルターを設置した実績はない」と同社安江常務は語った。
日本が平和ボケしているという話はいたるところで耳にする。いざというときの備えを持っているのはほんの一握りだ。核シェルターは使われないことが一番だが、果たして日本に核シェルターが必要な未来はやってくるのであろうか。