肉欲棒太郎から不動産業界で勝ち抜くガッツをもらう!
「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」という漫画がある。
不動産会社の店主が主人公という異色の設定ながら、これが若い女性を中心に人気を集めていて、この冬ドラマ化もされた。しかし漫画の中で描かれる不動産会社として、絶対に忘れてははならない存在がある。
(※注 今回は編集部の思いが暴発してしまった回です。おとそ気分でお読みください)
「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」は、漫画はロックやヘビメタ好きでちょっと態度が横柄という一癖ある主人公姉妹だ。
店舗を構える吉祥寺に部屋探しに来た女性客との間で話がすすむ。
何となくのイメージで吉祥寺に来たお客に主人公姉妹が本当に住みやすい街を紹介していく。
その中で、女性達の心境が変化していく様子を描写する。
建物よりも街の魅力がたっぷり盛り込まれているのが特徴だ。
面白い。
しかし、ぬるい。
ぬるいんだよ!
何が「町が変われば、あなたも変わる」(※「吉祥寺だけが~」3巻の裏表紙より)
不動産なめんなよ!
不動産はな生き馬の目を抜く熾烈な戦いの連続なんだよ。
漫画で不動産会社のリアルを表現したのはただ一人!
肉欲棒太郎だけじゃ!(ナニワ金融道・青木雄二著)
と、言葉遣いが変わってしまうほどに編集部の心をとらえて離さないキャラクターなのだ。
肉欲棒太郎は!
そこで肉欲棒太郎の生きざまを紹介する。
肉欲棒太郎は不動産会社肉欲企画の社長を務めるベンチャー起業家だ。
わずか25歳。
しつこい交渉と生来の人たらしで数十億単位の取引を繰り返し、ビル開発などで名をあげる。
名をあげるというか、この名に生まれついた時から大きなハンデを背負いながら生きているのだが。
しかし金融業者の罠にはまりソシアルビルの開発を邪魔され、あえなく破産してしまう。
ビルを取り上げられ、本拠にしていた大阪にはいられなくなり妻とまだ赤子の長男・棒一郎とで神戸に身を寄せる。
住むのは6畳一間がせいぜいのアパートだ。
そこで、ようやくありついた仕事は反社会勢力の下請けとして裏競馬の賭け金の回収をする仕事。
早い話がノミ屋稼業だ。
不動産会社の社長として我が世の春を謳歌した身が、反社の三下、日陰者の立場に転落したわけだ。
その屈辱は計り知れない。
それでいて棒太郎の眼には絶望はない。
というか、黒目が・でしかないのだ。
絶望も喜びも目には現れないのだ。
家族のために地道に働く。
妻も夫をしっかりと支える。
苦しい時ほど助け合う。それでこそ夫婦やで!
よく見ると妻も若手社長にありがちな北新地から水揚げしたという風でもない。
不動産鑑定事務所に勤めていたという堅実な女だ。
ネオンに負けなかった棒太郎。えらいぞ。
やがてチャンスが回ってくる。
賭け金の回収で訪れた映画館にヒントを見つけ、映画の前売り券を活用した金券ビジネスを思いつく。
この時の棒太郎のセリフがいい。
「神戸の街を毎日ただただ走りまわっていたわけやおまへん 心のアンテナをいつも四方八方に伸ばしてましたんや」
まさにベンチャー起業家だ。
ビジネスの種は血眼にならなければ見つからない。
その必死さがアイデアを生むんや、棒太郎。
実態は前売り券を使った、ただの詐欺だが。
金融業者からの借金を元手に、地道に映画の前売り券を集めて金を手にする棒太郎だがここで映画会社の追及を受けビジネスは頓挫してしまう。
無念!
でも詐欺だから、しょうがない。
その後、新天地として訪れた広島で元部下の男性と再会する。
棒太郎はここで数年ぶりに再会した元部下に反社と間違われる。
独自の個性は光るな、棒太郎。
元部下と新たなビジネスを始めるため、ノミ屋稼業を足抜けしようとするがそうはいかない。
裏街道にもルールはあるのだ。
組長から小指を詰めろと脅されるが、そうなれば元反社の烙印を押され二度と表舞台には立てない。
覚悟を決めた棒太郎は居合わせた反社たちの靴を舐め許しを乞う。最後には、靴についた犬の糞ごと舐めろ言われる。
これはヒドすぎる。
どうする棒太郎!
舐めるか…
それともブチ切れるのか!
違う。
棒太郎は犬の糞ごと飲み込んだ。
「これしきのことで…ワシはどうしても足を洗うんや」
気高い。
気高いぞ棒太郎。
ページのコマからもパワーが満ちている。
棒太郎の気迫に反社も完全に気圧される。
それはそうだ。舐めろとは言ったが、食えとは言ってない。
あまりの根性に組長から餞別として100万円を渡されるという快挙だ。―これから辛いことがあったら、今日の屈辱を思い出せと。
凄いけど、そんな金で起業しちゃいけないぞ。
それにしても、なんという「やり抜く力」だ。話題のグリッド力だ。まさに不動産ベンチャーの鏡。この根性あればVCの追及なんて毛ほども怖くない。
絶対にもう一度成功をつかむんだ!
棒太郎のその後は、実際の漫画で確かめて欲しい。
不動産テックやIOTなど不動産業界で成功しようと夢見る起業家は、泥水をすすりながらも這い上がろうとする肉欲棒太郎の姿から学ぶものがきっとあるはずだ。