みなさま、こんにちは。相続コーディネート実務士の曽根惠子です。
「相続相談の現場から」として、相談に来られたお客様の事例をご紹介いたします。
今回は70代・男性のNさんが、ご自身の相続対策についてご夫婦で相談に来られました。
◇夫婦で70代、会社を閉めて相続の準備を
70代のNさん(男性)は、夫婦で相談に来られました。妻は60代後半。
40代、30代の娘が3人います。
Nさんは夫婦でインテリア関係のお店を経営してこられましたが、娘は誰も
跡を継ぐつもりがないため、近いうちに廃業しようと夫婦で話し合っています。
Nさんの財産は不動産が3か所で、財産の8割にあたります。
自宅は6000万円でNさん夫婦と三女が同居、1階に次女夫婦も住んでいます。
他に2億円の貸しビルがあり、長女家族が3階の1室に住んでいます。
もう1つは1.5億円の貸倉庫がありますが、負債も5000万円残っています。
Nさんの一番の悩みは娘たちにどういう残し方をすればいいかということです。
相続税がかかる不安もありますが、それよりも、分け方が難しいのです。
◇3人の娘にどう分けるかが課題
一番立地がよく収益が高いのが貸しビルで、返済もなく、家賃収入のみで
楽々生活ができます。貸し倉庫は返済があるため、たいして残りません。
自宅は収益がないため、固定資産税の負担だけとなります。配偶者の税額軽減を使えば
相続税はかからない範囲ですので税金の負担を減らす方法がありますが、
Nさんの場合は、どう分けるかが課題と確認できました。
◇不動産の価値が違う
娘3人なので1つずつとしたいところですが、それぞれの価値が違うため
簡単にはいきません。売却するには得がたい立地で惜しいと思えます。
客観的に考えるほど分割案は難題です。
そこで、借り入れの残る不動産は売却し、半分で資産組み替えをし、残る半分で
生命保険に加入、ビルの収益の一部も分割用に残し、生命保険も追加するなど、
3等分に近づくように財産構成にする対策を提案しました。
そのまま維持しているよりも、資産組み替えて”バランスを変える”ことも選択肢の1つです。
◆相続コーディネート実務士から◆
貸しビルを相続する人が一人勝ちになると不満が残ります。ぴったりにいかないにしても
できるだけ不公平感が残らないよう、いまから財産構成を変えることが必要でしょう。
◆ポイント◆
・不動産1つずつでも内容が違えば公平ではない
・資産組み替えや生命保険などで相続のときの財産構成を作る