みなさま、こんにちは。相続コーディネート実務士の曽根惠子です。
「相続相談の現場から」として、相談に来られたお客様の事例をご紹介いたします。
今回は50代・女性Aさんが、父親の生前対策のことで相談に来られました。
◇父親が脳梗塞で倒れた
Aさん(50代・女性)は、3人きょうだいの末っ子で、兄と姉がいます。
両親は80代で、同じ敷地に兄家族が家を建てて住んでいます。
Aさんと姉は結婚して家を離れましたので、普段は兄夫婦に両親のサポートをしてもらって
有り難いという気持ちをもっていました。
一昨年、父親が家で脳梗塞を起こして倒れてしまい、母親が気づいて、救急車を呼んで、
大事には至らなかったということが起こりました。
治療の結果、回復して、また家で生活をしていますが、再発もあると言われて父親は万が一のことも
覚悟しなければいけないと思ったようです。
そのため、兄に実印など全てを預けて管理を任せてしまいました。
母親も高齢ですので、息子のほうが頼りになるという判断だったのでしょう。
◇兄が会社を設立していた
ところが最近、兄は両親や姉やAさんにはなんの相談もなく、資産管理会社を設立していることが判明したのです。
たまたま実家に届いた郵便物からAさんが気づいたのですが、兄が代表者で、一人息子の頭文字のついた
社名ですので、甥も役員だと思われます。
兄に問いただしたところ、父親の節税対策だというのですが、詳細の説明はなく兄への不信感が膨らむばかり。
このままでは兄が父親の財産を自由にしてしまうのではと不安になったようで、今後、どうすればいいかと
Aさんより相談がありました。
◇名義移転には父親の意思確認が必要、勝手にはできない
父親は賃貸収入があり、そうした管理も現在では、兄がしているということです。
兄の会社が父親の物件を一括して借り上げ、入居者に転貸する方法(サブリース)が一般的ですので、
そうした形で取っていると想定されます。
現在は、名義を移すには権利証だけでなく、本人の意思確認が必要ですので、そうそう勝手に父親の土地、
建物が兄や兄の会社のものになってしまうことはないでしょう。
しかし、実印などを預けていると、物理的には手続きができるため、不安は残ります。
◇この機会に家族で対策を
Aさんの話では、父親は持ち直してしっかりした状態だとのことですので、実印は父親本人が管理するか、
母親や姉、Aさんが管理するなど、いったんは兄の手元からはなしたほうがいいとアドバイスしました。
また、この機会に、家族で相続プランを作って、父親の意思を生かした分割や節税対策を話し合うようにともアドバイスをしました。
不信感が解消できないまま、相続になった場合、兄とトラブルになりかねません。
先送りしないで、いま、距離を詰めておきたいところです。
◆相続コーディネート実務士から◆
不信感となるのは「聞いていない」「教えてくれない」ことが発端になります。
なにごとも「オープンに」が、キーワードです
◆ポイント◆
・親の財産管理はきょうだい全員にオープンに
・名義替えは本人の意思確認が必要
■メッセージ■
㈱夢相続、相続コーディネート実務士の曽根惠子です。
私は30年前に不動産コンサルティング会社を創業し、相続の取り組みも始めました。
今までに1万3000人以上の方から相続相談を受けてアドバイスし、実務のサポートもしております。
相続のご相談はおひとりおひとり違いますので、本当にさまざま。
「オーダーメード相続」をサポートしております。