みなさま、こんにちは。相続コーディネート実務士の曽根惠子です。

「相続相談の現場から」として、相談に来られたお客様の事例をご紹介いたします。

今回は70代・男性のМさんが自分の相続対策のことで相談に来られました。

◇70代。いよいよ自分の対策をしておきたい

Мさん(70代・男性)は、60代の妻と40代の娘2人が相続人です。

Мさんは30代で会社の社長となり、70歳で退くまで30年以上も代表を務めずっと会社のトップとして

第一線で仕事をしてこられました。

現在も、書籍を出版したり、講演活動をしたりで、充実した日々を過ごしておられます。

そうしたことから、自分の相続のことはきちんとは対策をしてこなかったということで、

いよいよきちんとしておこうと、相談にこられました。

Мさんの財産は、自宅と別荘と、預金で、約1億5000万円となり、相続税は約1400万円と試算されました。

自宅に同居するのは妻と独身の長女ですので、小規模宅地等の特例が適用でき、

配偶者の特例も適用すると1次相続での納税を減らす選択肢はあります。

◇贈与した現金が気かがり

Мさんが気かがりなことは、嫁いだ次女と孫娘の生活や将来のことでした。

孫はまだ幼稚園児ですが、学校に入れば教育資金がかかるため、それに充てるように自分で娘名義の預金口座を作り、

2000万円を定期預金として、娘に渡してあるということです。

自分の手元を離れたものの、娘は贈与税の申告をしておらず、使わずに持っているということなので、

どうしておくのがいいか、アドバイスをもらいたいとのこと。

Мさんは有名人が親から財産の贈与を受けた際、贈与税の時効にかかり、課税されなかったという報道を知り、

贈与税に時効があるということを知ったということで、自分の場合はどうかも知りたいということでした。


◇貸し付けから贈与に切り替え

そこで、相続プランの委託を頂き、今後の相続対策と贈与をどうするかを提案することになりました。

娘に渡した預金は渡した時点で贈与なので、本来は贈与税585万円を申告、納税

するべきところですが、そのまま贈与税を払うには額が少なくありません。

業務提携先の税理士3社に相談した結果、Мさんが娘に貸し付けたものとして、

これから、契約書を作り、債権を暦年贈与していくようにする方法を提案しました。

◇預金よりも賃貸収入を

また、今後、Мさんの収入は無くなる時期がくるため、現在の預金の一部で不動産を購入して賃貸する方法も

提案しました。そうすることで、相続税の節税になり、預金が目減りする不安感は減らせるのです。

Мさんは、贈与が時効になるまで長生きすれぱいいのかと言われましたが、グレーゾーンに押しやるよりは、

贈与契約書を作り、非課税枠を活用しながら正式に贈与していくことをお勧めしました。

契約書という証拠を残しながら、合法的に贈与をすることで不安はなくなるでしょう。

◆相続コーディネート実務士から◆

法的には時効が成立するとしても、税逃れとなりますので、それはお勧めできないのが結論。

合法的に贈与が成立する方法をお勧めします。

◆ポイント

・贈与を明確にするために契約書を作成する

・贈与の申告をしていない場合は貸付金とする

 
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