みなさま、こんにちは。相続コーディネート実務士の曽根惠子です。
今回は、農地を広大地評価して納税を減らし、3,906万円節税できた鈴木さんのお話です。
■評価・申告■ 土地を広大地評価して節税した 鈴木さん
■節税額の合計 3906万円
■節税項目 [遺産分割]小規模宅地等特例
[評価・申告]広大地、宅地造成費
[納税]配偶者税額軽減(67%相続)
[相続データ]
・依頼者 鈴木さん
・被相続人 父親
・相続人 母親60代、長女30代(本人)、長男30代 ・家系図 別途
・財産の内容 自宅、畑、貸アパート、預貯金、有価証券、配当期待権、負債
・遺言 なし
[相続税の節税額]
相続財産 2億8,327万円
債務、葬式費用 △335万円
◆小規模宅地減額 △1,223万円 (330㎡ 80%適用)
◆広大地評価の特例 △3,880万円 (101,925,470円→55,318,877円)
◆宅地造成費減額 △230万円
課税価格 2億2,659万円
基礎控除(相続人3人) 4,800万円
相続税総額 3,365万円
◆配偶者税額軽減 △2,254万円 67%
納付した相続税 1,111万円②
当初の相続税額 5,017万円①
◆節税額 3,906万円①-②
■評価減できた項目と節税額・・・添付グラフ
1.小規模宅地等の特例の評価減
→自宅にて適用・・・ 評価減1,223万円
2.広大地評価の特例の評価減
→田にて適用 ・・・ 評価減3,880万円
3.宅地造成費による評価減・・・評価減230万円
3.配偶者控除の特例 通常の相続税額 3,365万円 →2,254万円
◆節税額 3,906万円
□相続の状況
鈴木さんの父親は祖父から相続した土地を生かして、農業と貸家業を営んでいました。長女は嫁いで他県で生活し、
長男も仕事の関係で転勤を繰り返しています。そのため、両親は二人暮らしで、農業も二人で取り組んできました。
父親はいままで大病をしたこともなく、普段から元気でしたので、相続はまだまだ先のことと思っていたところ、急に倒れて亡くなってしまいました。残された母親は、一人では農業を継続できず、二人の子供も手助けできそうに
ありません。また、相続税がかかるとしても納税できる現金が少なく、
とても不安に思って、できるだけ節税したいという気持ちでした。
◇課題
・財産の大部分が土地
・農地は生産緑地にしてきたが、農業を継ぐ者がいない。
・農地の納税猶予を受けるための営農要件が満たせない
・預金が少ない
◇相続コーディネーターの提案
鈴木さんの所有されている土地のうち、生産緑地に指定している田は1,000㎡以上あり、
広大地評価の要件を満たしています。地形は一方路で奥行きが深く、
宅地造成するには道路を通さなくてはなりません。
周辺も高層住宅などがない戸建ての住宅地であるため、広大地評価を採用することが適していると判断できました。
また、一部の畑は地盤面が道路より50cmほど下がっており、宅地として利用するためには土盛りをするなどの
造成をしなければならないため、造成にかかる費用を算定して評価減を行いました。
農地の納税猶予を受けると納税額は減らせますが、二人の子供は農業を継続できないため、
今回は、相続した預金から納税資金に充てるようにしました。
母親が相続した割合が大きいため(1億6000万円まで無税適用)、今後、節税対策が必要になります。