“健康長寿時代”不動産と僕らの人生。
第4回「人生のイメージ=ライフプランを立てる」、第5回「暮らしのイメージ」、第6回「住まいのイメージ」と、住まいについての考え方を順を追って説明しています。
さて、今回は第7回目。
第6回と同じく「住まいのイメージ」の中のお話ですが、よく耳にする「持ち家に住みたい」、「賃貸の方がいい」という『持ち家vs賃貸』について考えていきたいと思います。
結論から言ってしまえば、人それぞれです。
すごく当たり前のことですが、この『持ち家vs賃貸』の議論に明確な答えがないのは、「ライフプラン」や「ライフスタイル」が人にとって、ご家族にとって異なるからです。
なので、持ち家に住みたいという場合も、賃貸に住みたいという場合も、「ライフプラン」を作成し、どのような「ライフスタイル」で人生を過ごしていきたいのかを事前に考えておくようにしましょう。
これを前提にしたうえで『持ち家vs賃貸』の違いを見ていきたいと思います。
〔持ち家〕 | 〔賃貸〕 | |
○暮らし |
・一般的に部屋数が多く、広い。 ・転勤や引っ越しがしにくい。 ・好きなようにカスタマイズできる。 |
・一般的に部屋数が少なく、狭い。 ・転勤や引っ越しがしやすい。 ・好きなようにカスタマイズできない。 |
○お金 |
・一般的に資産として手元に残る。 ・頭金や住宅ローンなど、購入費用がかかる。 ・毎年、固定資産税を納める。 ・リフォームなどのメンテナンス費用がかかる。 ・火災保険や地震保険の保険料がかかる。 |
・資産として手元に残らない。 ・敷金や礼金などがある。 ・家賃を支払う。 ・駐車場代がかかる。 ・火災保険料がかかる。 |
○老後 |
・住宅ローン返済後は、月々のコストが少なくなる。 ・リフォームなどのメンテナンスが必要になる。 ・賃貸や売却をして、住み替えることができる。 ・資産価値が高い場合、相続税がかかる。 |
・退職後も家賃を払い続ける必要がある。 ・メンテナンスを自分で考える必要がない。 ・老後の住替えもしやすい。 ・自己所有ではないので、相続は関係ない。 |
やはり「資産性」があるのかないのかがひとつの分かれ目になるのかもしれません。
一般的に「持ち家」は、マンションにしろ、一戸建てにしろ、自分のものになるので、多かれ少なかれ資産性がともないます。
一方、「賃貸」の場合、マンション・一戸建てにかかわらず、人から借りているので自分の資産にはなりません。
これについては、転勤や老後の住まいをどうするかについて考えるときに重要なポイントになると思います。
その反面、「固定費」に着目すると、やはり「持ち家」の方がコストがかかります。
ただ、老後のことを考えると、「賃貸」の場合、ずっと家賃を支払う必要があるので、家計に占める支出の割合が高いと感じるかもしれません。
「暮らし」については、「持ち家」の方が自分の好きなようにカスタマイズできる“自由度”が高いと言えるでしょう。
「老後」についても、「持ち家」は自己所有なので、何かと利便性が高いと言えますが、今、問題になっている“空き家”のリスクもあるので、「持ち家」に住みたい場合は、この点についても事前に考えておくようにしましょう。
今回見てきた『持ち家vs賃貸』。
それぞれの特徴や違い、メリット・デメリットを考えるのはとても大切ですが、これらをまとめてみると次のようなことに気づきます。
老後の生活を重視するなら「持ち家」
今の生活を重視するなら「賃貸」
日本の場合、中古住宅の発想が欧米に比べ薄いので、このような傾向になりがちです。
しかし、国は今、2020年に向けて中古住宅市場を整備する政策を実行しています。
本来、家は、長く大切に住み続けるもの。
日本人も、もともとそのような住まいの考えを持っています。
戦後、高度経済成長を経て、新築のマンションや土地付き一戸建てを購入するのが当たり前のようになっていますが、これからの“健康長寿時代”、人口減少が想定される世の中では、新築よりもむしろ中古住宅の重要性が問われるようになります。
そして、ひとつの家に長く大切に住み続ける。
こうなると、「持ち家」= 中古住宅、今の生活も、老後の生活も同時に視野に入れ、さらに、購入コストも今より割安になるので、ライフプラン上、住まいと家計がよりバランスのとれたものになる可能性があります。
まだまだ時間のかかることですが、これからの子育て世帯にとってはちょっと重要なポイントです。
次回の“健康長寿時代”不動産と僕らの人生では、中古住宅市場を巡る国の政策についてお伝えしていきます。