こんにちは!CFP・税理士の白根壽晴です。

Brexitやトランプ現象という、過去半年間に起きた現象に金融市場も大きく反応して、
専門家もその影響を評価し兼ねているうちに年末が迫りました。

今年は、世界の政治経済に関する従来のトレンドから全く外れた現象が次々に起こり、
私たち個人投資家の判断を悩ませています。

例えば、原油や鉱物などの資源価格の低迷現象は、
これらの資源を爆食してきた中国の実体経済の悪化による需要低迷により、
まだ長引く様子です。

その一方で、鉄鋼生産に不可欠な原料炭の高騰で鉄鋼製品には値上げの動きが見られます。

円相場は、BrexitによるEUの分裂からリスク回避する動きに呼応して、
11月初めまでは米ドルやユーロに対して円高傾向に推移しました。

しかし、米国大統領選挙のトランプ候補勝利を受けて、
事前の予想とは反対のドル高・円安相場が続いています。

鉱物資源、穀物資源の価格低迷により消費者物価も低迷し、
デフレに逆戻りも懸念されました。
欧州各国の金融政策は、その軸足を景気後退の防止やデフレ対策へと移行してきました。
米国の一年ぶりの利上げは、足下の好調な景況感と今後のトランプ政権への期待感をさらに盛り上げて、
根拠のない熱狂に思えなくもありません。

こうして現在私たちの目の前で起きている現象だけで判断すると、
世界人口の増加による資源不足と将来のインフレ懸念、
日本の人口減少や潜在経済成長率の低下、
財政悪化を原因とした増税や社会保障費用の負担増加など、
これまで懸念していたことが消滅したような錯覚に落ちます。

しかし、現実に世界人口は増え続けて食料や鉱物資源などは枯渇する可能性があり、
日本の人口は確実に減少して国力に陰りが生じ、
いつか起きる景気後退は国と地方の財政にさらに厳しいダメージを与えることなど、
日本人を取巻く環境が良くなる訳ではありません。

そこで、世界も日本も、政治経済社会の不確実性が高まっている今こそ、
目の前で起きている「短期的な現象」(いつまで続くか分りませんが、一過性の現象)と
今後数十年にわたり継続すると考えられる「中長期的トレンド」
を切り分けて、
私たちの生活や資産設計を考えて行く複眼的思考が大切です。

今年もあと数日ですね。
来年も、皆さまに少しでもお役に立てる情報を発信していきたいと思っています。

どうぞ、良いお年をお迎えください。

 
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