こんにちは。司法書士の塩足です。
ようやくというべきか、あっという間にというべきか、今年も一年が終わりに近づこうとしています。
皆さん、今年はどのような一年だったでしょうか?
唐突ながら、暦の一年に終わりがあるように、人の一生にもいずれ終わりがやってきます。
そして、その人の人生が終わった瞬間に、相続が開始します。
相続が開始すると、相続人は、亡くなった人(被相続人)が有していた財産(相続財産)
に関する一切の権利義務を承継します。
そして、「財産」という以上、そこには不動産も含まれます。
ただし、不動産売買の時もそうであったように、
相続人の中のいったい誰が具体的に不動産の権利を承継したのか、については
外部からはなかなか分かりません。
そもそも、相続財産を相続人が承継するには、
①法定相続分に従って相続人全員で共有する
②相続人全員の合意によって遺産分割協議を行い、特定の相続人が承継する
③被相続人が生前に遺していた遺言に従って、特定の相続人が財産を承継する
のいずれかの方法による必要がありますが、第三者の視点からすれば、
上記のどの方法によって相続がなされたのか、というのは見えづらいものだからです。
そこで、相続によって不動産の所有権などの権利を承継した場合も、
その旨の登記を行うことにより、第三者からも具体的に誰が権利を有しているのか、を
分かりやすくするようにします。これを一般に相続登記といいます。
ただし、そもそも不動産登記は義務的なものではなく、
その申請手続きは当事者の意思に委ねられています。
そして、売買と異なり、相続の場合においては、
不動産の権利に関わる当事者、すなわち相続人は、その権利を
ことさらに第三者に主張できるようにしよう、とは考えず、
被相続人名義のままほったらかしにしてしまうケースが
少なくありません。
そのようなケースが散見される理由としては、
①上述のとおり、不動産登記は義務的なものではなく、
ほったらかしにしても罰金などのペナルティが課せられないから
②不動産の相続登記を申請するには、登録免許税や司法書士報酬などのコストが生じるから
等の事情が考えられます。
これを見て、実際に思い当たる節のある方もいらっしゃることでしょう。
しかし、私は登記、あるいは相続手続きの全般に関して
ご相談に来られる方に対してよく申し上げているのですが、
不動産の相続登記は放置すべきではありません。
むしろ、放置することで将来的に様々な弊害が生じるおそれもあるのです。
では、具体的にどのような弊害が考えられるのか。
これについての解説は、年末年始の宿題とさせて頂き、
来年に改めて解説させて頂くことにいたしましょう。
その前に、ぜひ一度、ご自身でも考えてみて頂くことをおすすめいたします。
それでは、来年も皆様にとって幸多き年になりますように。
良いお年をお迎えください!