桜花賞、皐月賞、天皇賞など、春のG1レースの時期が近づいてまいりました。
何の話かわからない方もいるかもしれませんが、競馬です。
競馬が好きで、時々、週末に競馬場に行きます。
これで儲かっていれば鼻高々なのですが、たいていは次のようになります。
第11レースまでに大きく負け、最終の第12レースでその日の損失を一気に取り返そうと大穴を狙いにいきます。
どう考えても本命馬が勝つと思われるのに。
そして案の定外れて、損失が大きくなるだけという結果に…。
さて本題です。
「人間は得をする時と損をする時とで、その価値の感じ方が異なる」、
または
「利益を得る場面ではリスク回避を優先し、
反対に損失を被る場面では損失を可能な限り回避しようとする傾向がある」
という心理学の理論があります。
これをプロスペクト理論といいます。
たとえば、次の2つのどちらかを選べるとします。
A 必ず10万円をもらうことができる
B 50%の確率で20万円を貰えるが、50%の確率で何も貰えない
この場合、ほとんどの人がAを選びます。
しかし、もし20万円の借金を抱えている状況だったらどうですか?
同じ質問です。
A 必ず10万円をもらうことができる
B 50%の確率で20万円を貰えるが、50%の確率で何も貰えない
Aを選べば確実に借金は半分になります。逆にBだと借金がなくなる確率が半分です。
Aのほうが堅実で、Bはギャンブル性が強いと言えます。
この場合、ほとんどの人はBを選択します。
人間は、利益を前にすれば確実に取れる利益を取る、
損失を前にすれば多少のリスクを犯してでもその全てを回避しようとする、
そのような性質があります。
利益よりも損失のほうに敏感に反応する、強く印象に残るといえます。
この人間の性質を利用したものとして、自動車保険などのCMがあります。
A 加入しているお客様90%が満足しています
B 満足していないお客様は10%だけです
よく、Aのようなことを話しているCMを耳にしたことがあると思います。
しかし、上のAとBは同じことを言っています。
ただ、AのようなCMにすることで、
損失に敏感に反応するという人間の性質を避け、視聴者に好意的に受け取られるようにしているのです。
私も今後、このプロスペクト理論を肝に銘じ、
負けが込んだ最終レースでも本命馬を狙うよう心がけ…られないだろうなぁ。